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カシミールの刺繍や織物にサインがある理由とは!!|カシミヤの秘密を公開!

カシミールの刺繍や織物にサインがある理由とは!!|カシミヤの秘密を公開!

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カシミールの刺繍や織物は謎に満ちている

カシミールの織物や手刺繍のカシミヤのファンは世界中にいます。

古くは11世紀、シャー王国、そしてムガール帝国の時代に時の権力者に愛され、他の王国の王侯貴族に高価な贈答品とされ、
ヨーロッパ社交界には、ナポレオンが妃ジョセフィーヌへの贈り物としてエジプトの王より譲り受けたカシミヤが、一世を風靡しました。

その当時『パシュミナ』と呼ばれたカシミヤは、あまりにも素晴らしい織物がゆえ、非常に多くの人の心を掴み、あっという間に世界中に広がって行ったのです。

その当時は今と違い、科学もコンプライアンスに関する意識も発達しておらず、ましては情報も知識も・・・何もかもが不足していた時代でした。
なおかつ、多くのことに大様(おおよう)な時代でもあったのです。
それがゆえ、この当時『パシュミナ』と呼ばれたカシミヤは、さまざま伝説、異説、まがい物を生み出し、現在の混乱へと進んでいったのです。
カシミヤは欧米文化の発達とともに、カシミヤという定義がある程度はっきりしました。
しかしある時点でカシミヤと分離されたパシュミナの定義は曖昧なまま、現代にいたっているのです。

しかしそのようなことで本物カシミヤが廃れ、時代の中に埋没することはありませんでした。
それは混とんとした泥沼にあったとしても、光る真珠にしています。
カシミールの織物や刺繍カシミヤ商品の価値が上がることはあっても、下がることはなかったのです。
そうです。
常に目利きの人々、カシミヤを愛する人々によってカシミールのカシミヤは保護され、高く評価されてきたのです。

そんなカシミールの織物や刺繍のカシミヤでもベールに包まれている分野があります。
それは、カシミールの織物や刺繍のカシミヤの素晴らしさは知ってはいても、その作り方、その名の意味、それにまつわる詳細な事柄はベールに包まれているかのように謎に満ちていると感じている人は数多くいました。

その中の一つには、カシミールの織物や刺繍のカシミヤに入っているサインがあります。
今回はそのカシミールの織物や刺繍のカシミヤに入っているサインの意味について特集してみたいと思います。

サインが入っていないカシミールの織物や刺繍カシミヤは偽物?!

サイン

左の写真をご覧ください。
刺繍が施してあるカシミヤにサインが入っています。

この日本では、カシミールの織物や刺繍カシミヤに入っているこのようなサインはマスターのサインだと言われています。

そしてある人々は、その織物や刺繍カシミヤは『マスターによって作られた素晴らしい品質のカシミヤだ』とか『マスターによって認められたカシミヤだ』などと言います。

しかしカシミールの織物や刺繍カシミヤの中にはサインが入っていないものもあるのです。

ではその論理からいうと、そのサインが入っていないカシミールの織物や刺繍カシミヤは偽物なのでしょうか。
それとも品質の良くない、腕のよくない職人さんが作ったカシミールの織物や刺繍カシミヤなのでしょうか・・・
それとも末端の職人さんが横流ししたカシミヤなのでしょうか。
そんな疑問が沸いてきます。

でもそんな訳ありません。

カシミールの織物や刺繍カシミヤで使っているカシミヤ山羊の原毛は、カシミヤの製作依頼者が提供しているものだからです。
カシミールの職人さんたちは製作依頼を受け、依頼通りカシミヤを作ることによって手間賃を貰います。

もし職人さんが横流しをするとしたらどうなるでしょうか。
カシミールでは職人さんたちが持っている販売ルートは非常に限られています。
ですからたとえ『横流し』などという事が発覚しようものなら今後の仕事も無くなりますし、依頼数に対する納品数も合わなくなりますので辻褄が合わなくなるのです。

ですからほとんどそのようなことはないと言っても過言ではありません。

では日本で流布されていることは本当なのでしょうか?!

カシミールのカシミヤのサインの謎(なぞ)、正体を知るためには、まずその謎に満ちた組織構造を知る必要があります。

カシミールのカシミヤファミリーの組織図

組織構造
カシミヤファミリー

カシミールのカシミヤファミリーの組織から謎を考える

カシミールのカシミヤは、凡そ20の工程を踏んで作られ、ほとんどの作業が分業で行われています。
そしてその作業は、織物(カニ織は別のマスターによって管理されています)や刺繍、それぞれの分野は各マスターによって管理され品質が守られ、カシミヤは作られています。

※その組織構造についての詳細にご興味のある方はカシミールのパシュミナ ファミリーの組織・仕事分担を教えますをご覧ください。

そのカシミールのカシミヤファミリーを見ると一つだけ分かれているところがあります。
上の画像のピンクの部分です。
これは各マスターの管理下から外れた組織となっているのです。
これは何をやる仕事なのでしょうか・・・・

これがカシミールの織物や刺繍のカシミヤに入っているサインの意味を解き明かすカギになります。

カシミールの織物や刺繍カシミヤに入っているサインの理由

Sign

これら各マスターから独立しているカシミールのカシミヤ作りを支えている仕事は何でしょうか。

それは『Washer』と『Finisher』です。
つまりカシミヤを洗いアイロンなどをかける人と最終的な仕上げをする人です。
これは独立しています。

ですからここの人たちは、どのグループの仕事も受けます。
たとえばわたしのビジネスパートナーのグループの仕事を受けるときもあれば、他のグループの仕事を受けることもあります。
そして当然ながら、それらの仕事を同時にうけることもあるのです。
これらの仕事場はスリナガルの川沿いの場所に、複数個所存在しています。

ですから依頼者のカシミヤを見分けるために、各織物にサインを入れているのです。

カシミールの織物や刺繍のカシミヤにサインが入っている理由は、案外簡単な理由なんです。
サインは、別によい品質であると認めているとかマスターが作っているとか、そんな理由ではありません。
ただカシミールの織物や刺繍のカシミヤを洗い、最終的に仕上げる際に、他のグループのカシミヤと混じらないためにサインは入っているのです。

ではサインが入っていないカシミールの織物や刺繍のカシミヤはどういうことなのでしょうか。

それは先ほど簡単に述べた、洗う場所は複数個所あるということが答えとなります。
つまり洗うことを依頼したグループのカシミヤをよく知っているところでは混じる心配がないので、サインを入れなくても良いのです。
ですからカシミールの織物や刺繍のカシミヤにはサインが入っていないものがあるのです。

またカシミールのカシミヤ職人さんによってはサインを持っていない人もいるそうです。
その人の作った織物や刺繍カシミヤは当然サインが入りません。
しかしサインがないからと言って、その職人さんは技術がないわけでも半人前だという訳でもありません。
ただ自分のサインを持っていないだけなんです。

こう考えたら案外単純なものです。
ただ数多くあるカシミヤが他のグループのカシミヤと混じらないためにサインはあるのです。
そしてただサインを持っていない職人さんもいるということなんです。

ですからカシミールの織物や刺繍カシミヤはサインの有り無しでは、その品質の良さを見分けることができないということになります。
目からうろこの知識ですね?!

そうそう。
ついでに書いておきますが、入っているサインを入れているのはカシミヤを作った職人さんで、常にマスターのサインではありません。
※マスター自らカシミヤを作る場合もありますので、その場合サインはマスターのものとなります。

カシミールの織物についているサイン 何のためにあるのですか? – まとめ –

いかがだったでしょうか。
カシミールの織物や刺繍カシミヤに入っているサインの謎をご理解いただけたでしょうか。

その理由は案外簡単なものでした(笑)
『マスターによって作られた素晴らしい品質のカシミヤだ』とか『マスターによって認められたカシミヤだ』という訳でもなく、
ましてや『カシミールの素晴らしいカシミヤの証(あかし)』などでもありませんでした。

ただ他のグループの織物や刺繍のカシミヤと混じらないためにサインを入れているだけだったのです。

これはスリナガルで何代も伝統的なカシミヤ作りをしているビジネスパートナーから直接聞いた話なので真実です。

謎に満ちた事柄も、いざ蓋を開けてみたら非常に単純なものだったという一つの例になります。

では、どのように本物のよい品質のカシミヤの織物や刺繍カシミヤを見分けていけば良いのでしょうか。
しかもそのカシミヤが適正価格だったら、なおのこと良いのではないでしょうか。

織物や刺繍カシミヤの見分け方は別に特集いたしますが、良い品質のカシミヤの見分け方は必見! 優れた品質のカシミール刺繍の3つの見分け方をご覧ください。

不定期に行うGreat Artisan(グレート アーティザン)のイベントでも、実物を見せて見分けかたをお伝えしています。
詳細はイベントのご案内ページにてご確認ください。

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