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カシミールの刺繍の伝説
カシミールに伝わるカシミール刺繍に関する伝説があります。
カシミール刺繍のショールへの刺繍はアリババと呼ばれる農民の創造から始まったといわれています。
カシミールに伝わる伝説によるとアリババいう名前の偉大な職人がカシミールのスリナガルに住んでいました。
彼は破れた服をついだり、修理したりする仕事に堪能で、古い服に無数のステッチをして捨てなければならない服を生き返らせる。
そんな仕事をしていました。
そんなある日、アリババが家で仕事をしている間に家禽(かきん)が洗って乾いている白い布の上を歩き、その白い布に足跡がついたそうです。
しかしアリババはその家禽の足跡がとても気に入り、アリババはその自然で美しい家禽(かきん)の足跡のシルエットを保存しておきたくなり、その足跡の輪郭を刺繍することを始めました。
そしてアリババは色のついた糸を針につけ、家禽(かきん)の足跡の周りを糸でステッチしたのです。
後にカシミール刺繍(別名:Kashida kaam)という名前で知られている、この布を装飾するまったく新しく、素晴らしい技術はこうして発明されたというカシミールの伝説があります。
この「カシダ」という名前はペルシャ語に由来し、自由に流れる筆記体を意味します。
確かにカシミール刺繍は自由に流れる筆記体のようなスムーズさと美しさがあります。
これはカシミールの友人から聞いた話ですが、なにか非常に想像しやすく、カシミールの美しい風景を思い浮かべることができます。
確かに、新たな発見とはこのようなものかもしれません。
このカシミールの伝説の真偽は別として、カシミールの刺繍は、何世紀にもわたって多くの文化の影響を受けて進化してきました。
カシミール刺繍のデザインは、カシミールの混乱の歴史と従属の歴史の集大成ともいえます。
例えばカシミール刺繍を含む、カシミールの文化はムーア人、ペルシャ人、トルコ人など様ざまな人種から数多くの影響を受けてきたのです。
しかしカシミール刺繍の色合いはカシミール独自の色合いを保っています。
それはカシミールの四季を引き立て、そのカシミール刺繍の色合いはカシミールに咲く魅力的な花、果物、そして鳥などを加え、非常に自然と調和のとれたデザインとなっているのです。
カシミール刺繍(Kashida)とは
カシミール刺繍(Kashida)とは、インド・カシミール地方の伝統工芸です。
カシミール刺繍は、主に刺し子タイプのニードル刺繍(ソズニ刺繍)とアーリという特殊な太いかぎ針を使ったアーリ刺繍の2タイプに分かれています。
つまりカシミール刺繍は北インドのカシミール地方に古代より受け継がれている刺繍の技法をカシミール刺繍といいます。
そのカシミール地方は、ヒマラヤ山脈の谷であり、15世紀から伝わる古来の刺繍職人たちの技を代々継承しています。
このようにカシミール刺繍は何世紀にも渡って様々な文化に影響され、そして完成されたユニークなモチーフとデザインと技術を持った刺繍であるといえます。
そのカシミール刺繍の職人技をマスターするには何年ものトレーニングが必要で、その技術を使って刺繍されたショールのデザインは、職人たちの間で何代も受け継がれてきた素晴らしい技術というよりは芸術といえます。
特にカシミール地方のスリナガルでは、カシミール刺繍の古代の技法に触発されて、Global Doorsで取り扱っているカシミヤのショールとストールのほとんどは、まず原料から糸を紡ぎ、手織りで織られたストールやショールがほとんどです。
※一部メリノウールの生地は機械で織っています。
※カシミールの手織りに関する情報は手織り(Hand-Woven)をご覧ください。
ちなみにこのWEBサイト名:GreatArtisan は、そのような素晴らしい職人たちの技術に感銘を受けて名付けられています。
興味のある方はサイトのグレートアーティザン コンセプトをご覧ください。
このようにして手で織られたカシミールのショールやストールは、デザインされた色に染色後、ショールとストールはスリナガル近郊の村々にあるカシミール刺繍職人の元にいき、刺繍の種類に応じて異なるサイズの針を使用して模様をデザインする複雑なプロセスを開始します。
※ショールやストールを織る前に糸を染色し、カラフルなショールやストールを織る場合もあります。
※カシミール刺繍に関しての詳細な情報は、カシミール刺繍:Kashida(カシダ) 素晴らしい刺繍の王様をご覧ください。
カシミール刺繍(Kashida)の起源とその特徴
先ほども少し触れましたが、カシミール刺繍(Kashida)は、ペルシャ語に由来し、自由に流れる筆記体の文章を意味しています。
カシミールの工芸品の歴史の背後には、カシミール渓谷の他の手技とともに、スーフィー聖人とペルシャの熟練した弟子がいるといわれています。
スーフィー聖人とはイスラーム神秘主義(スーフィズム)の修行者のことです。
しかし、その言い伝えの正確な起源を追跡できるだけの証拠はありませんが、カシミールのラダックのアルチェ修道院で見つけられたいくつか絵画は、カシミール刺繍(Kashida)の起源を探す一つの手がかり、証拠として参考にされています。
その11世紀頃に描かれたラダックの壁画は、人物が着用する衣服にカシミール刺繍(Kashida)の絶妙な刺繍が施してあります。
これらのことを考えても、カシミール刺繍の起源はかなり古いものであると考えられています。
現代のカシミール刺繍(Kashida)の偉大な職人たちは、膝を上にして背中を壁に向けて、独特の姿勢で座り、仕事をするのが特長です。
そのカシミール刺繍の職人たちは厚い硬いクッションまたは斜めの木製の厚板を使い、それが彼らの背もたれの役目を果たします。
カシミール刺繍の職人たちは一日6-8時間ほど座りっぱなしのときもあるので、そのような工夫をしているのでしょう。
またカシミールの職人たちのもう一つの興味深い特長は、その針を持つ手が右手だけであるということです。
左利きの職人がほとんどまたは全くいないというにも特徴となっているようです。
たしかに何度もスリナガル近郊の村を訪れていますが、左手で針を持っている職人さんにお会いしたことがありません。
正確な真偽は分かりませんが、刺繍職人たちは壁を背に並んで刺繍作業を行っていますので、ぶつからないような配慮なのかもしれません。
このようにカシミール刺繍(Kashida)は、カシミール地方に古来より伝わっている伝統工芸であり、主に刺し子タイプのニードル刺繍(ソズニ:針仕事という意味)とアリという特殊なかぎ針を使ったアリ刺繍(フック仕事という意味)の2タイプに分かれている、カシミールが世界に誇る素晴らしいてしごとなのです。
ニードル(ソズニ)刺繍とはなんでしょうか
一般的に日本ではニードル刺繍又細密細針刺繍、細針刺繍といわれており、写真のような細い針を使って刺繍します。
このカシミール刺繍のニードル刺繍は最高難度の手刺繍といわれており、ロイヤルファミリー、マハラジャの伝統的なモチーフからのインスピレーションを受けています。
ソズニ刺繍の中でも有名なデザインは、ペイズリーです。
このペイズリーは西欧諸国に多くの影響を与え、カシミールなどのペルシャ文化にて用いられてきた柄にも関わらず、イギリスの一都市の名称が広く使われています。
その経緯などの詳しい情報はこのカシミールとペイズリー その歴史とカシミヤ/パシュミナをご覧ください。
このソズニ刺繍は一本の糸の色を変えながら細かく刺繍して仕上げていき、カシミヤ/パシュミナなどに刺繍する時は、シルク&コットンの混毛の糸を使い非常に多くの手間と技術を使う職人技の光るカシミールが誇る刺繍技術です。
この刺繍技法はカシミールの職人が丁寧に極細の針を刺して手刺繍したもので「ソズニ刺繍」とも呼ばれ、地元カシミールでは主にソズニ、「Sozankar」と呼ばれています。
このソズニ刺繍は、ボーダー柄で3カ月から半年、ジャールと呼ばれる全体柄で1、2年、さらに豪華なジャマワールでは刺繍の完成までに3年から~5年を費やすこともあります。
ソズニ刺繍が施されるのは、主に、パシュミナ(Pashmina)のショール、ストール(彼らはスカーフとも呼ぶ)ウールのショール、ジャケット、サルワールカミーズ、サリーに施されています。
前述しましたが、このソズニという技術は、細部に多くのスキルと注意を要する非常に精密で正確な、まさに刺繍の芸術とも言える技術で、ソズニ刺繍は刺繍職人にとって大変な集中力と忍耐力が必要な非常に価値のある仕事といえます。
サイズの異なる針を使用すると、1つのショールは2〜3人の職人によって作業され、1ヶ月から1年の間に任意の時間をかけて完了することもあります。
しかしこの仕事は男性が主な刺繍の担い手のため、特に手刺繍の商品が機械刺繍などに販売という点で押されていることもあり、ソズニ刺繍の担い手になろうとする人が少ないという現実もあります。
ですから最近インドのある地域では、女性が刺繍の担い手として訓練を受けているというインドの記事を読んだことがあります。
※わたしが知っているカシミールの刺繍職人たちは全員男性です。一部の工房では、まだまだ彼らは古来からの作り方を踏襲しているようです。
ニードル刺繍(ソズニ)の始まり
ソズニ刺繍の始まりは、パシュミナの始まりと密接に繋がっています。
パシュミナに関しての詳しくはなぜカシミールのパシュミナは、世界最高品質って言われるの? パシュミナの歴史を通して考えるの中に、なぜカシミールにパシュミナという素晴らしい製品が生まれたのかが論じられていますので読んでみてください。
そのパシュミナ/カシミヤの中に、ミルアリ・ハマダニ(Mir Syed Ali bin Shahab-ud-Din Hamadani(ペルシャ語:میرسیدعلیابنشہابالدینہمدانی; 1314-1384))という人がペルシャからカシミールに呼ばれてきたと言われています。
このミルアリ・ハマダニは、このカシミールの刺繍 ソズニ刺繍にも非常に密接に関係してきます。
このソズニ(Sozni)は、カシミールで非常に崇敬されている聖者で学者のミルアリ・ハマダニ(Mir Syed Ali Hamdani)によってカシミールに持ち込まれたのです。
ミルアリ・ハマダニと一緒にカシミールにやって来た700人のペルシャ人の職人の中には、針(ソズニ)仕事(Sozin Kaars)の職人がいたのです。
ミルアリ・ハマダニがラダックに来てパシュミナ山羊を発見したとき、彼はカシミールでショール作りを紹介し、そして針(ソズニ)仕事を使ってパシュミナを装飾する方法を地元の人々に教えました。
カシミール刺繍がショールやストールなどに施されるようになったのは、これからだといわれています。
このようにして、針(ソズニ)仕事(Sozni Kaem)の貴重な芸術がカシミールで始まることとなったのです。
ソズニ刺繍に関する、その他詳細な情報は、刺繍の中の王様 ソズニ(SOZNI)刺繍の秘密|カシミール刺繍をお読みください。
アーリ(Aari)刺繍
アーリ(Aari)刺繍は、アーリ(ARI)と呼ばれるとがった鉤(かぎ)を使った代表的なカシミール刺繍です。
細密細針刺繍(ニードル刺繍:ソズニ)が刺繍の完成までの時間がかかることから始められたチェーンステッチが、アーリ刺繍ですが、その華やかな刺繍がファンを増やし、今ではインド刺繍の代表的なストールとなっています。
つまりアーリ刺繍はソズニ刺繍から生まれたものなのです。
かぎ針に似たとがった鉤(かぎ)「アーリ(Aari)」として知られる特別なフック(左の画像)付き針を使用してチェーンステッチの細かい同心円の輪にそれを作成するカシミール職人の刺繍です。
別名、Crewel刺繍とも言われており、このアーリの刺繍はペルシャによって12世紀にムガール帝国の支配者によってカシミールに紹介されました。
アーリ(Aari)刺繍で使う糸には綿や羊毛、絹そして他の獣毛などを使い刺繍を施します。
デザインは、花、湖、山、美しいカシミールの大自然からのインスピレーションを受けたカシミール地方の伝統デザインが多く、鉤針を使い下から糸をすくって刺繍し、円を描くように色を変えながら一針一針刺繍をしていきます。
針が太いので、その図柄も自然とダイナミックなものになります。
通常カシミヤ/パシュミナにもアーリ刺繍は施すのですが、わたしの友人はメリノウールだけにしています。
理由を聞くとカシミヤ/パシュミナにもできるのですが、アーリ刺繍は針が太いためただでさえ繊細なカシミヤ/パシュミナの生地に支障がでないために、ソズニ刺繍のみにしているとの事でした。
確かに刺繍の元のメリノウールは機械で織っているので素材の織目がきつく締まっているんです。
このアーリ刺繍は、カシミールだけでなく世界中に広がっており、最近では機械刺繍のアーリ刺繍も出てきています。
カシミールで機械刺繍のアーリ刺繍と手刺繍のアーリ刺繍を比べたのですが、
わたしは明らかに分かりましたが、恐らく見慣れないと分からないと思います。
そのためこの日本にもタイやカンボジア、ベトナム、ネパールなど様ざまな国でアーリ刺繍の織物やカバンなどが機械や手で作られており、そもそもソズニ刺繍に比べてそのテクニックにも大きな差が出ないことから非常に安い価格で出回っています。
ソズニ(Sozni)とアーリ(Aari)刺繍の作り方
刺繍ショール制作前作業
デザインの準備 | Naqashと呼ばれるデザイナーは、自分の経験や幾何学的および数学的手法を使用して、デザイン用紙に刺繍するデザインを慎重に描きます。 |
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打抜きのための木のブロックの彫刻 | Naqashと呼ばれるデザイナーによって準備されたデザインに基づいて、木のブロックにデザインが彫られます。 |
ショールの刻印 | その木のブロックを洗えるインクに浸して使い、刺繍デザインはchapangurと呼ばれる専門家によってショールに刻印します。 |
色のサンプリング | 刻印されたショールはtarah-guruという名の職人に渡され、そこで刺繍のサンプルが作成され、刺繍に使用される色が決定されます。 |
デザインの承認 | Vosteと呼ばれるもう一人の熟練した職人が、デザインの内容を承認または変更があればそれを要求します。 全てがVosteによって承認されると、ショールは承認された色に基づいて刺繍をショールに施すために、刺繍職人に渡されます。 |
既存のデザインを使う場合:過去に作成した様ざまデザインの中から、マスターがデザインと色を選び、そのデザインの木版のスタンプを押します。
刺繍ショール制作後作業
木製のブロックでスタンプした後から刺繍が行われます。
その後針仕事は押印されたインクのデザインに沿って刺繍が始められます。
使用されるステッチの種類は、その地域の特質やモチーフの種類とサイズによって異なります。
そして最後に刺繍し終わったショールを洗い、刺繍のモチーフとなったスタンプを洗い落とします。
これで刺繍パシュミナが完成です!
カシミールの刺繍 ソズニ(Sozni)とアーリ(Aari)まとめ
このようにニードル(ソズニ)刺繍やアーリ(Aari)刺繍は、美しいカシミールの大自然をモチーフとしている刺繍が多くあります。
たとえば、現在ペイズリーとして知られている柄、アイリス、チューリップ、蓮(はす)、サフランの花として一般に知られているbadum(アーモンド)のような多くの伝統的なモチーフも刺繍として人気があります。
またオウム、カナリア、キツツキ、蝶、カワセミのような鳥のモチーフが美しい色で刺繍されています。
さくらんぼとぶどう、自然に影響を受けた水仙とマリーゴールド、美しい緑の芝生はすべてソズニ刺繍や工芸品の中に見つけることができます。
このような美しい刺繍を施したカシミールショールを生み出したカシミールの人々の子孫は、今もなお卓越した色彩センスのを受け継ぎ、刺繍によって描き出されるモチーフ一つひとつの美しさと均整のとれた図案は見る者を魅了して止めません。
日本では、細密細針刺繍とか言われていますが、地元カシミールではソズニと言われています。
このカシミール刺繍に関して纏まった、分かりやすい資料があまりなく非常に苦労しましたが、
カシミールの友人に聞いたり、カシミールの文献を読んだりして調べました。
慎重に調べたのですが、もし間違っている情報などがありましたら教えてください。
これからも情報は追記していきたいと思っています。
Great Artisan(グレートアーティザン)もカシミールの刺繍ストールを販売いたします。
非常に良い品質のものです。価格も適正価格でご提供します。
知ってはいてもコンテンツに書いていない刺繍に関する様ざまな情報があります。
もしカシミールの刺繍に関してご興味のある方はご質問いただければ、分かる範囲でお答えしますし、
分からなければカシミールの友人に聞きます。
3日に一度は連絡を取り合っているので、分かることは直ぐにお答えできると思います。
ぜひカシミールの刺繍に詳しくなって、本物のカシミヤ/パシュミナ刺繍ストールを見分ける目を持つようにしてください。
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カシミヤ 手織り ストール|一品モノ|ボーダー 手刺繍 パシュミナ|生地:ガーネットレッド|刺繍:ピンク色/薄緑色/薄赤色
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カシミヤ 手織り ストール|一品モノ|ボーダー 手刺繍 パシュミナ|生地:マスタードイエロー|刺繍:青色(2種)/緑色/ピンク色