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カシミール刺繍=Kashida(カシダ)|素晴らしい手刺繍の王様

カシミール刺繍=Kashida(カシダ)|素晴らしい手刺繍の王様

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カシミールのカシミヤ/パシュミナと日本の現状

カシミールのカシミヤ/パシュミナ製品は世界でもトップクラスの品質、そして人気を誇ります。
その中でもカシミール刺繍が施されたパシュミナショール/ストールは、素晴らしいカシミヤの生地の上に、色とりどりの糸で手刺繍が施されているので、とりわけ世界の中で欧米諸国の文化の影響を受けた土地で人気があります。
特に人気が高いのは、とくにイギリス・フランスの影響を受けた国々です。

この日本においても同様の傾向があります。
ヨーロピアンデザインやプレーン(無地)のカシミヤ/パシュミナもその柔らかさ、軽さ、風合いゆえに非常に人気がありますが、手刺繍を施したカシミールのカシミヤ/パシュミナは非常に人気があります。

このように世界的にみても希少価値があるカシミールのカシミヤ/パシュミナですが、これらカシミールのカシミヤ/パシュミナに関する情報を系統立てて紹介しているサイトは、この日本では少ないといえます。

やはりそれは残念ながらカシミヤ/パシュミナストール/ショールを巻くという文化/習慣がこの日本には根付いていないからなのか、それとも別の理由があるのか・・・その理由は分かりません。

それゆえカシミールの手織りのカシミヤ/パシュミナに関する正確な情報、そしてカシミール刺繍に関する情報が少ないため、
この日本ではカシミール刺繍に関する情報が様ざまあるのが現状と言えます。

そのためこのコンテンツではカシミール刺繍について現地の友人に聞きながら、そしてカシミールの文献を読みながら、カシミール刺繍に関して特集してみたいと思います。

またわたくしも調査・勉強中のため記事はアップデートしていきますし、間違った情報があるかもしれません。
もしそのような情報があると分かったならば、カシミールのカシミヤ/パシュミナへの愛を動機として暖かくご指摘いただければとても嬉しく思います。

カシミール刺繍=Kashida(カシダ)とはなんでしょうか?!

刺繍職人
カシミール刺繍の職人たち

Kashida(カシダ)としても知られているカシミールの手刺繍(カシミール刺繍)は、インドを支配したペルシャとムガール帝国の支配者の後援を受けて栄えていきました。
このKashida(カシダ)は、ペルシャ語の「Kashida kaam(カシダ カーム)」からきており、自由流動筆記体を意味します。

そのKashida(カシダ)の起源をたどる証拠は数多くありませんが、伝説によるとペルシャのサフィ聖人がカシミールにこの技能(カシミール刺繍)をもたらしたと言われています。
※このカシダ(カシミール刺繍)に関する伝説や情報は【カシミヤ/パシュミナ】カシミール刺繍 ソズニ刺繍(sozni)ジャリ(JALI)とボーダー(border)ストールをご覧ください。

このカシミール刺繍の特徴は、草木などの風景の優しい色とその多様な自然の美しさからインスピレーションを得ていると言われています。
カシミールは自然が豊かでインドの楽園と言われています。
ですからカシミール刺繍の職人たちは、そのような素晴らしい自然の中に住んでいるため、カシミールの風光明媚な自然の美しさを糸を通してそれを刺繍として反映させるモチベーションには欠きません。
それほどカシミールの自然は美しいところなのです。

カシミールに咲くバラ、ハス、ヒヤシンス、アイリス、カエデ、つる、水仙など、鮮やかなパステルカラーの花は、バラエティに富んだ自然のさまざまな栄光を帯びています。
ですからカシミール刺繍のデザインはすべて花(バラ、ユリ、そしてアイリス)のスプレー、アーモンド、そして多くの種類の鳥、開花低木およびペルシャ様式の花のモチーフのような自然から取られています。

このようにカシミールで普通に見られる、絵のような動植物と渡り鳥の豊かな多様性は、彼らの巧みな刺繍技術によりカシミール刺繍として豊かに表現されているのです。

このカシミール刺繍では、どのような素材を使って刺繍をしているのでしょうか。
カシミール刺繍にて使う刺繍糸は絹(コットン)か羊毛、シルクなどで仕上げられていることが有名です。
そしてKashida(カシダ):カシミール刺繍は、それら刺繍糸を使いシンプルなステッチで仕上げられていることで知られています。

このKashida(カシダ):カシミール刺繍は、ヘリンボーン、チェーンステッチ、結び目ステッチに至るまで、多種多様なスタイルのステッチを誇っていますが、Kasidaの作品を定義するのはシンプルなシングルステッチスタイルです。

カシミール刺繍:Kashida(カシダ)とソズニ刺繍・アーリ刺繍

ここまでで分かる通り、カシミールでいうところのKashida(カシダ)とは、カシミール刺繍を州全体で実践しているさまざまな手刺繍の種類の用語をKashida(カシダ)/カシミール刺繍と言っています。
そのKashida(カシダ):カシミール刺繍の中には、ソズニ(Sozni)、クレウェール(Crewel:Aari(アーリ))、張り子(Paper Mache)など世界的に大きな需要がある人気のある種類の刺繍が含まれています。

つまりKashida(カシダ)とはカシミール刺繍を表すために使用される一般的な用語だということになります。
簡単な方程式でいうと以下になります。

Kashida(カシダ)=カシミール刺繍 ∋(含まれる)(ソズニ(Sozni)、クレウェール(Crewel:Aari(アーリ))、張り子(Paper Macheなどなど)と思っていただければ分かりやすいと思います。

このKashida(カシダ)刺繍/カシミール刺繍は、以前は男性によって主に行われ、女性が刺繍職人になることはこの業界では少ないという状況がありました。

つまりKashida(カシダ)は父から息子に受け継がれている伝統の刺繍技術であり、男の子はカシミール刺繍の単純なステッチをかなり早く父親から習い始めたのです。
これはカシミールの女性がただ家事をしていたという訳ではありません。
カシミールのカシミヤ/パシュミナの制作作業は分業となっておりますので、女性はカシミヤ/パシュミナのフリースを糸に紡いだりする重要な作業を行ったのです。

しかし現代ではカシミールでも刺繍職人が少なくなったり、女性進出などの傾向もあり、国がカシミール刺繍の職人として女性を訓練し始めています。
そして今では女性ならではの素晴らしいカシミール刺繍のデザインを生み出すようになってきているのです。

それではカシミールの手刺繍のそれぞれの刺繍技術を解説していきます。

ソズニ刺繍(SOZNI)について:カシミール刺繍

「Sozankar」とも呼ばれるソズニ刺繍(Sozni)は、繊細で手刺繍です。
主にカシミヤ/パシュミナ(Pashmina)生地に施される手刺繍です。
ソズニ刺繍(Sozni)という言葉は裁縫という意味です。

このソズニ刺繍(Sozni)が施されているパシュミナショールは、カシミール地方の優雅な手刺繍のショール/ストールに施されることで有名です。
主に作られるのはショールですが、日本でいうところのストール(彼らはスカーフとも言う)にも手刺繍を施します。

インドは全国的に、色柄が鮮やかで、色調のコントラストが強いものが好まれます。
これらソズニ刺繍(Sozni)にも通常明るい色の糸を使ってされ、綿密に仕上げられたシングルスレッドステッチング方法が使われます。
そして、このソズニ刺繍の代表的なデザインは主にペイズリーと花柄になります。

しかしこのようなカシミール刺繍は、派手なものばかりでなく、色味が穏やかなものも少なくありません。
その点が日本人の好みにあうのだと思います。

アーリ(Aari)刺繍について:カシミール刺繍

アーリ(Aari)刺繍は、「アーリ(Aar)」として知られているかぎ針編みの針に似ている特別なフック付き針を使用して、細かいチェーンステッチするカシミールの手刺繍です。

アーリ(Aari)刺繍は「Aarikam」と呼ばれるチェーンステッチ刺繍で、ソズニ刺繍(Sozni)が完成まで多くの時間がかかることから、このアーリ刺繍は始まったといわれています。

アーリ(Aari)刺繍は、「アーリ(Aar)」とソズニ刺繍(Sozni)で使う細い針よりは、太く長い針を使用しますので施す手刺繍も、ソズニ刺繍(Sozni)に比べれば大柄になります。

そしてこのアーリ(Aari)刺繍の作業は手作業で行われ、ステッチのスタイルはチェーンステッチで、花柄のデザインは適切に整列された連続的な方法で円を縫うことによって作成されています。

アーリ(Aari)刺繍のデザインは、全体的にエレガントな性質のため、アーリ(Aari)パシュミナショールは市場から高い評価を受けています。
アーリ(Aari)刺繍は私たちが映画で見る最も一般的な刺繍です。

アーリ(Aari)刺繍のカテゴリには、大きく分けて2つの種類があります。
3色以上の糸と満開の花模様の刺繍を指すポスカー。
そしてRaskarは3色以下の糸と花のつぼみ模様の刺繍を指します。

ティラ刺繍またはシルバーとゴールドの刺繍について:カシミール刺繍

地元では「ティラ(Tilla)」と呼ばれるこのタイプの刺繍は、女性用のマント(「フェロン」)、ショールなどに施します。

それはインド特有の模造の金と銀の糸、あるいは最近では細かい銅の糸を使って刺繍が施されます。

歴史的に、ティラ刺繍は王族の趣味であり、エリートの間ですべての重要な行事の際に使われました。
このティラ刺繍は服やショールやサリーなど様々なものに施されています。

このように金属糸を使用する刺繍にはZARI(ザリ)、Zardozi(ザルドジ), Kataoki Bel,Mukaish,Marori Work,Gota Work,Kinari Workなどがあります。

カラム カリ(Kalam Kari)刺繍について:カシミール刺繍

カラム カリ(Kalam Kari)刺繍は、手書きのデザインと刺繍のデザインが混在する、非常に独特のアートです。

ウルドゥー語のカラム カリ(Kalam Kari)刺繍は「手で描く」という意味です。

カラム カリ(Kalam Kari)刺繍の職人は、刺繍の周りのデザインをペイントするために自然色の染料を使用しています。

カラム カリ(Kalam Kari)刺繍の一般的なデザイン:
イスラムとペルシャの影響の伝統的なモチーフは独特なカシミール刺繍で、時間の経過とともに進化し現在のカシミール独特の刺繍となっていきました。
それらの中で最も人気があるのはGulab(バラ)パターンとBadam(アーモンド)パターンです。ショールタラとも呼ばれます。
その他のカシミール刺繍と同じく、豊かなカシミールの自然や動物たちをモチーフとした刺繍が多く、カシミールの人々の完成の豊かさを表しています。

刺繍デザインの名称に関して

ハシダール(Hashidar)「ハシダール(Hashidar)」は小さなボーダー刺繍のことです。
総称してボーダー刺繍と言います。
ボテーとも呼ばれるペイズリーが四隅にあるのが特徴です。
ミームドアー(Meemdoor)「ミームドアー(Meemdoor)」は中くらいのボーダー刺繍のことです。
総称してボーダー刺繍と言います。
ダオウダール(Daoudar)「ダオウダール(Daoudar)」は、大きなボーダー刺繍のことです。
総称してボーダー刺繍と言います。
パルダール(Paldar)「パルダール(Paldar)」は生地の両端のみにデザインが施されているデザインを言います。
カニ織にもソズニ刺繍にも使います。
ブッティダール(Butti dar)「Butti dar」パターンは小さな繰り返しのモチーフから成っているデザインのことです。
一定間隔でショールの表面を彩っており、デザインは、花、葉、蝶、ペイズリーなど、デザイン又はサイズはさまざまです。
チャルバダム(Charbadam)「チャルバダム(Charbadam)」パターンは、4つのペイズリーフォームの集合体です。
ジャマワール(Jamawar)「ジャマワール(Jamawar)」は生地全体を覆う模様のことです。
カニ織にもソズニ刺繍にも使います。
ジァアリダール(Jaali dar)ジァアリダール(Jaai dar)」デザインはアラベスクまたは網(ネット)のような全体を覆うデザインのことです。
ジャリとも言います。

Kashida(カシダ) |カシミール刺繍のまとめ

いかがでしょうか。
多分カシミール刺繍の一部、一側面を解説しました。

現時点においてはおおよそ正しい内容になっていると思います。
もう少し英語がうまくなってスムーズなコミュニケーションができるようになったときに、詳しく聞いて加筆していきたいと思います。

このようにカシミール刺繍のデザインである、ソズニ刺繍・アーリ刺繍などカシミールの刺繍デザインは素晴らしいものです。

ぜひカシミールの刺繍ストール、ショールをお手元に一枚ご愛用ください。

カシミールのカシミヤ/パシュミナの虜になるに違いないと思います。

以下にカシミールの昔ながらのカシミヤ/パシュミナを集めたブランド、トラディショナル パシュミナをご紹介いたします。

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