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カニ織(KANI Weaving)とはなんですか?
世界で最も複雑な手織り技法と言われるカニ織。
カニ織は北インドにあるカシミールが世界に誇る、世界最高峰の織物です。
このカニ織(KANI Weaving)は、インドのジャンムー&カシミール(Jammu and Kashmir)にある同名の製織技術が生まれた村、スリナガルの西15km ところにあるカニハマ(Kanihama)村に由来します。
そしてこのカニ織(KANI Weaving)の織り方は、日本でいう綴れ織り(つづれおり)と似ています。
その織り方は、カニと呼ばれる小さな木製のボビン(スティック)に、染色したカシミヤ糸を巻きつけ、縦糸一本一本にカニ(木製ボビン)を通していき、柄を作っていく織物の手法です。
このカニ織のデザインは、根気強く無数のカニ(木製ボビン)を使って描いていきますので、このカニ織が出来上がるまでは半年から8カ月。
長くかかるもので完成まで1年以上かかるものもあるほどです。
※綴れ(つづ)織とカニ織との関係はカニ織(KANI Weaving)の発祥とその危機|失われそうなカシミールの芸術にて特集しています。
このカニ織はカシミールの織物の原点です。
つまりカシミール刺繍の刺繍技術がパシュミナに施される以前の、まさにナポレオンの妻ジョセフィーヌが愛したカシミールの織物の原点の姿を今もなお留めているのがカニ織(KANI Weaving)なのです。
現代のカニ織の現状とは
世界でも有数の素晴らし織物と言われているカニ織にも、今変化が訪れています。
今から10年前、このカニハマ村では、約5000のカニ織(KANI Weaving)のハンドルーム(工房)が稼働していました。
しかし残念なことに、最近ではカニ織(KANI Weaving)の職人はたった1500人くらいに減少したといわれています。
なぜインドの芸術ともいえるカニ織がそんなにも減ってしまったのでしょうか。
それには現代ならではの理由があります。
この世界でも有名なカニ織で使う糸は、カシミヤ山羊の糸を紡ぎ、手織りで職人が時間と手間をかけて昔ながらの製法で作っていきます。
最近は紡績機で依った糸を使うことも多々ありますが、カニ織を作るのは手織りであることには変わりありません。
ですから完成までに非常に多くの時間と手間がかかります。
しかし昨今機械織りのカニ織(ウール製)が登場し、羊毛(メリノウール)のカニ織を大量に安く作るようになったため、カニ織の職人たちの仕事が減ってきたという事情があるのです。
※カシミールにおけるカニ織の衰退状況はカニ織(KANI Weaving)の発祥とその危機|失われそうなカシミールの芸術にて特集しています。ぜひご覧ください。
しかしそれによって、このカニ織の価値が下がることはありません。
このカニ織(KANI Weaving)は、その織物としての技術の難易度からカシミールショール作りの頂点といわれています。
そしてカニ織(KANI Weaving)のその洗練された芸術性において、他のどんな形の織物も、このカニ織(KANI Weaving)に匹敵するものはないと言われています。
このカニ織(KANI Weaving)は、それほど素晴らしい世界が誇るカシミール産の織物なのです。
このコンテンツでは、その素晴らしいカニ織の歴史や作り方、そして良い品質の本物のカニ織の見分け方などを特集してみたいと思います。
カニ織(KANI Weaving)の歴史
カニ織(KANI Weaving)の明確な起源はムガール帝国の時代までさかのぼることができます。
しかしその頃のカニ織はある程度技術的にも確立されていたため、本当の起源はもっと古くからあると言われていますが、その歴史は定かではありません。
ムガール帝国の皇帝アクバルはこのカニ織(KANI Weaving)を好み、庇護したと伝えられています。
カニ織(KANI Weaving)はムガール帝国の時代、この帝国を代表する高価な名産物の一つであり、王侯貴族への贈答品とされたという記録が残っています。
古代においてさえ、カニ織(KANI Weaving)はそれまでに高く評価されていたのです。
カニ織(KANI Weaving)に関する有名な出来事としては、1776年、ナポレオン・ボナパルト皇帝は、エジプトにて送られたカニ織(KANI Weaving)のショールをフランスまで持って帰り、妻のジョセフィーヌ皇后に贈ったことで有名です。
このとき移行、カニ織(KANI Weaving)は西洋史を含む歴史の表舞台へと登場してきたのです。
カニ織(KANI Weaving)の作り方 その1
古来よりこのカニ織(KANI Weaving)に限らずカシミールの織物を織るのは男性の仕事です。
女性はカシミヤ山羊の原毛から糸を紡いで作ったりし、分業でカシミールの織物を作っていきます。
しかし最近では、このようにカニ織(KANI Weaving)の男性の職人が減少したため、カシミールでは女性をカニ織(KANI Weaving)の職人としての訓練をしています。
その状況はカシミール刺繍の刺繍職人たちも同様です。
そのためか、最近のカニ織のデザインは女性らしいデザインも出てきています。
いずれにしても、このカニ織(KANI Weaving)の職人は途方もないスキルと忍耐力を持つ人々です。
まさにカニ織の職人たちは、Great Artisa(グレートアーティザン)と言えます。
これらの職人が持っている集中力は信じられないほどです。
例えばカニ織の職人たちは、織り込まれているデザインの複雑さに素早く円滑に応じますが、カニ織の職人は1日に最大1インチ(2.54cm)しか織ることができません。
そのためカニ織り(KANI Weaving)のショールを織るのにデザインにもよりますが3〜36ヶ月かかることがあります。
このカニ織り(KANI Weaving)のKANI(カニ)とは、カシミールにある小さな木の長楕円形の「小さな棒」スプールのことで、ボビン(BOBBINS)を意味しています。
カニ織で使うボビン(BOBBINS)とは、KANI(カニ)と書かれた上の画像のものです。
カニ織りは、染色したカシミヤ山羊の毛をカニ(KANI)に巻き、それぞれの色を別々に生地に織り込むことで、カニ織のの有名な細かい模様を作り出していきます。
複雑なデザインのカニ織(KANI Weaving)ショールでは、最大1,500 色のKANI(カニ)を使用する場合があります。
カニ織はどのように作っていくのでしょうか。
カニ織(KANI Weaving)は何色もの横糸を駆使し、 ナカシュ(Naqash)と呼ばれるマスター職人によって細心の注意を払ってコード化された「織の譜面」、つまり talim(タリム)は方眼紙に記載され、それに従って糸ごとに模様を描いていきます。
そしてカニ織の職人たちは、そのデザインがコード化された「織の譜面」 talim(タリム)を見てカニ織を織っていくのです。
この talim(タリム)はTalimGuru(タリム グル)によって、コード化され譜面化されています。
前述したようにカニ織(KANI Weaving)は、この talim(タリム)にコード化された後にカニ織(KANI Weaving)として織られていきますが、逆にいうと、どんなデザインであってもtalim(タリム)にコード化されたならばカニ織(KANI Weaving)になるということです。
オリジナルデザインのカニ織(KANI Weaving)は作れるの?
カニ織(KANI Weaving)の作り方を考えてみましたが、カニ織のデザインはtalim(タリム)にコード化されたならばカニ織(KANI Weaving)は作れるということになります。
そのためカシミールの友人は、わたしたちGreat Artisan(グレート アーティザン)を含め、オリジナルデザインのカニ織(KANI Weaving)を作って販売している国は数多くあります。
そのカニ織り(KANI Weaving)のオリジナルデザインを作成する場合、希望するデザインをカシミールに送り、 talim(タリム)にコード化されるまで約1か月強。
その後完成されたカニ織(KANI Weaving)の納品までGreat Artisan(グレート アーティザン)では6-9か月で織ってくれます。
もしご興味のある方がいらっしゃいましたら、過去に承ったカニ織(KANI Weaving)のオリジナルデザインとその完成後のカニ織(KANI Weaving)の画像をお見せしますので、ぜひご検討ください。
カニ織(KANI Weaving)が素晴らしい織物だということがお分かりいただけると思います。
多分ナポレオンの妻ジョセフィーヌのように、日本でカニ織の擁護者、伝道者になってしまうかもしれませんね。
カニ織(KANI Weaving)の作り方 その2
本題に戻ります。
そして、カニ織は職人のスキルや才能によって、まず約1~2年アシスタントとしてカニ織(KANI Weaving)に携わります。
その後、職人のスキルや才能、そして努力によって、カニ織(KANI Weaving)の織り手にもなれば、まだアシスタントとして留まることもあるようです。
いずれしてもカニ織(KANI Weaving)の本場、カシミールのスリナガルにおいても、カニ織(KANI Weaving)のショール又はストールは市場に出たらすぐに無くなると言われています。
そしてその中でもマスター級の職人が作ったカニ織(KANI Weaving)は取り合いだと言っています。
ですからカニ織(KANI Weaving)は、目にして気に入ったときが買い時で、次に見るときにはそのカニ織(KANI Weaving)は無くなっていると言えるでしょう。
まさにカシミールのカシミヤ/パシュミナは一期一会の出会いです。
それほどまでに、カニ織(KANI Weaving)は今もなお素晴らしい織物であり、数多くの人々を魅了し続けているのです。
Great Artisan(グレート アーティザン)のカニ織は、カシミールの友人がカニ織職人(Artisan)を多く抱えているため、市場に出る前によいデザインのものを紹介してくれます。
そのためGreatArtisan(グレートアーティザン)のカニ織の価格はお安く、良いデザイン・品質なのです。
持つべきものは友です!
カニ織(KANI Weaving)の大きさ(サイズ)とは?!
カニ織(KANI Weaving)の基本の大きさはショールで、長方形の形をしており、通常100cm×200cmの大きさです。
しかしカニ織(KANI Weaving)は、様ざまなサイズに作ることは可能です。
たとえばストールサイズ(70cm×200cm)でも、Big Size(例:100㎝×300㎝)でもカニ織(KANI Weaving)を織ることは可能です。
カニ織(KANI Weaving)の完成までには2人の職人が2〜3年以内にショールを完成させることができます。
場合によっては、デザインが完成するまでに、製織期間が5年に及ぶ場合もあります。
この問題に関して信頼のおける書物である「The Kashmir Shawl 」の作者であるFrank Amesによると、1853年にフランス皇后から注文された1枚のカニ織(KANI Weaving)のショールは、完成までに30人の男性が関係し約9ヶ月を要したと書かれています。
2006年になって初めて、インド政府がカニ織(KANI Weaving)ショールの保護に動き、インド以外のどの国でもでもカニ織(KANI Weaving)のショールを製造することはできなくなりました。
その情報の出展に関しては以下のTHE HINDUの記事をお読みください。
以下にカニ織(KANI Weaving)の種類などを纏めます。
特別にカシミールの友人が過去に納品した、カニ織(KANI Weaving)のBig Size(例:100㎝×300㎝)の画像を掲載します。
これを中東の方は、体に巻いて使用するために注文したようです。
非常に珍しいカニ織(KANI Weaving)のBig Size(例:100㎝×300㎝)画像です。
ご覧くださいませ。
出展:THE HINDU
良い品質の本物のカニ織(KANI Weaving)の見分け方
カニ織(KANI Weaving)の品質の見極め方は、かくいうわたしも自信のない分野です。
通常のヨーロピアンデザインのカシミヤ/パシュミナやカシミール刺繍のカシミヤ/パシュミナなら分かるのですが、如何せん扱い数や見た数が違い過ぎる為、カシミールの人々のように見極める目を持っていません。
そのためカシミールの友人に頼りっきりになってしまっています。
しかしその友人の見る目は本物なので、その友人に教わったカニ織(KANI Weaving)の見極め方をお伝えいたします。
まぁその友人はカニ織(KANI Weaving)の工房を持っているので・・・・本当に良く知っています。
まずデザイン面からです。
素晴らしいカニ織(KANI Weaving)の大前提は、左右対称になっていなければならないということです。
これは大前提です。
そしてカニ織(KANI Weaving)の品質の差、つまりどこでマスターとその他の人のカニ織(KANI Weaving)職人の差が出るかというと、カニ織のデザイン全体のバランスだそうです。
それは絵画の世界と同じだと言っていました。
カニ織(KANI Weaving)で使う技術(テクニック)は同じだそうです。
カニ織のテクニックは、ある程度までいけばそんなに差はないと言っています。
しかしカニ織(KANI Weaving)のマスターが作ったカニ織(KANI Weaving)は、カニ織(KANI Weaving)全体がまるで芸術作品のように誰をも惹きつける、魅力あるカニ織(KANI Weaving)に仕上がっているようです。
絵画の世界も同様です。
絵を描くテクニックはそう変わらないかもしれません。
しかし絵画の世界で大家と言われるような人々の作品は、なぜか多くの人々を惹きつけます。
カニ織(KANI Weaving)も同じだそうです。
ですから、わたしたちがカニ織の品質を見極めるためには、まず素晴らしいカニ織(KANI Weaving)を数多く見る必要があります。
またカニ織(KANI Weaving)で差が出てくるのは、使用しているカシミヤ/パシュミナの糸だそうです。
これによっても仕上がったカニ織(KANI Weaving)に大きな差が出てくると言っています。
たとえばカニ織(KANI Weaving)に使う糸の違いで、仕入れ値で5,000~10,000インドルピー変わってくるとのことです。
カシミールの業者の仕入れ値で、これだけ違えば末端の販売店では10万以上違ってきます。
しかも、ずるい人はどの国、どの地域にもいます。
安く糸の品質の悪く、デザインも良くないカニ織(KANI Weaving)を仕入れて、品質を見極められない人にカニ織(KANI Weaving)を高く売る。
そんなことも生じているようです。
ですからカニ織(KANI Weaving)は有名でも、カニ織を購入するところも選ばなければならないのも現状なのです。
こればかりは、わたしたち日本人としては生産者を信じることしかできませんね。
こんなことがあるので、わたしたちは日ごろから生産者との良い人間関係を築き、日々維持していかなければならないのです。
ちなみにカニ織(KANI Weaving)のカスタムオーダーはマスター級のカニ織(KANI Weaving)職人に依頼します。
ですから仕上がるカニ織(KANI Weaving)の品質は素晴らしいものと言えますし、デザインもまたオンリーワンと言えるのです。
また当店のカニ織(KANI Weaving)は生産者から直接買っていますし、その友人とわたしは家族も含めた付き合いなので、わたしには良いカニ織(KANI Weaving)しか紹介しないと誓ってくれています。
カシミールに行ったら彼の家に泊まって案内を受け、買い付けや職人たちのところに行きます。
彼は本当に正直で正しいことを好んで行う人です。
そんな彼から仕入れている当店はそんな高品質なカニ織(KANI Weaving)を多くの方に使ってもらいたいので、適正価格で販売できています。
まとめ – カニ織(KANI Weaving)
カニ織(KANI Weaving)はまさにカシミヤ/パシュミナの中のカシミヤ/パシュミナと言えます。
カシミールに刺繍は、まさに利久の精神、一期一会を表しています。
出逢う人とは必ず別れる時がきて、今後もう二度と逢えないかもしれない。だからこそ出逢った人との時間を大切にすべきである。
だからこそ、利久は一生に一度の出逢いを大切にするべきと考えました。
カシミヤ/パシュミナも同じです。
とくにこのカニ織(KANI Weaving)やカシミール刺繍のソズニ刺繍なども同様です。
ほとんどの製品が一品モノ、まさに一期一会です。
ぜひこの素晴らしいカシミールの芸術をお楽しみください。
カニ織(KANI Weaving)は今年、以下のトラディッショナル パシュミナにて販売いたします。
トラディショナル パシュミナ
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