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今さら聞けない ローマングラスとはなんですか?!|アクセサリー

今さら聞けない ローマングラスとはなんですか?!|アクセサリー

地中で悠久の年月を過ごし、出土したローマングラスには、表面が七色に光る銀化現象が現れているものがあります。

そのように銀化したローマングラスは、光の当たり加減によって様々な色合いに変化し、
その美しさは人工的には決して再現できない、神秘的なものさえ感じられます。

ですから、そのようなローマングラスは近年、ヨーロッパ諸国では宝石に並ぶ人気を博しているのです。

このコンテンツでは、その美しいローマングラスの歴史や成り立ちにまで迫ってみたいと思います。

Contents

アクセサリーの歴史の中のローマングラス

アクセサリーというのは本当に奥深いものです。
アクセサリーの起源は古代エジプト時代に人の身体に模様を施して装飾したのが初めとされています。

そして世界で最も古い装身具は紀元前3,000年以降、古代エジプト時代のネックレスとブレスレットと言われています。
その後指輪やイヤリング(ピアス)などが現れ、長い歴史を経て現在のさまざまな美しいデザインのアクセサリーへと変化していきました。

そのようなアクセサリーの中でもローマングラスは不思議なアクセサリーです。
それは形や色だけが不思議であるという意味ではありません。

ローマングラスの成り立ちが不思議なのです。

ではローマングラスはどのようにできたのでしょうか。
今回はその不思議なローマングラスについて特集してみたいと思います。

ローマングラスとはなんですか?

ローマングラスとは

ローマングラスとは、紀元前60年頃、ローマ帝国時代に庶民の日用品としてつくられたガラスやその後のササン朝ペルシャの時代のガラスを元にして作られたアクセサリーのことです。

一般的に、ローマ時代のガラスがそのままの形を残し出土することもありますが、それもまたローマングラスと言われています。

つまりローマングラスは特別な製法を使って作られたガラスではなく、紀元前頃のローマ時代に人手によって作られ一般的に使われていたガラスのことなのです。

では今や芸術品、最も美しいとガラス工芸、ローマングラスと呼ばれているこのガラスは、どのようにしてローマングラスとなったのでしょうか。

まずはガラスの歴史について考察してみたいと思います。

ガラスの歴史とは

私たちの身近にあるガラスの歴史は極めて古く、少なくとも5000年以前より作られていたと言われています。

そのガラス技術の発見の理由は諸説あります。

ある説、古代ローマの歴史家プリニ(西暦23〜79年)によると、ベラス川でフェニキア人商人が、紀元前5,000年頃にシリアで、火のそばにある硝酸塩のブロックに調理用ポットを置いて、ブロックが溶けてビーチの砂と混ざり、不透明な液体を形成するのを発見たと書きました。
そしてその後フェニキア人の商人や船員は、ガラス製造技術を地中海中に広めましたという説もあります。

確かなことはわかりませんが、このように古代人が珪砂、珪石を含む土の上で焚き火をしたとき偶然できたのがガラスの始まりともいわれていたり、ガラスの起源は古代からある陶器の表面を美しくみせるために焼く前に陶器に掛けられたガラス質の彩薬に由来するともいわれています。

いずれにしても、今現存する最も古いガラス容器の断片とされているものは、中近東が起源で紀元前16世紀の終わりにメソポタミアからもたらされたガラスであるといわれています。

このようにローマングラスの元となるガラスは古代より、その美しさゆえに多くの人々を惹きつけ、魅了してきたのです。

しかしそのガラス工芸も、古代においては高熱を用いて素材のシリカを溶かしてガラスを制作するため高い技術力が必要でした。
誰もが作れるものではなかったのです。

そのためガラスは非常に高価なものとなり、現代のようにガラスが普及し日常品になるまでにはいかなかったのです。

ガラス器の製造革命からローマングラスへ

ローマングラス

そのような中、紀元前一世紀頃ガラス器の製造方法に大革命が起こりました。

このガラス工芸がブレイクスルーしたのは、吹きガラスと呼ばれる製造方法によると言われています。

それは現在のシリア付近でそのガラス製法である「吹きガラス」が発明されたと言われています。
つまりこの「吹きガラス」という製法によって、製造が非常に難しいため一部の特権階級の人々のためのものであったガラスが、一転して日常品へと変わっていったのです。

この「吹きガラス」という製法は、細長い円筒状の棒の一端に高熱のガラス塊を付け棒の他端に口をつけ息を吹き込んで、息の空気圧でガラスを膨らませてガラス容器を作るというものです。

これは今でも使われている製法です。
最初この「吹きガラス」という製法は、型吹きガラスといって、鋳型の中に円筒の先端の高温ガラス塊を挿入して口で吹く事により作られていました。

しかしその場合、完成したガラスには型の接合部の所に稜線としてその跡が残るという課題が生じ、その後、鋳型を用いないで円筒を回しながら吹いてガラスを作る、現在でも行われているようなガラス容器を作る宙吹きガラスという製法に発展し、ガラス容器を多数作れるようになりました。

このようにして薄く、透明で、実用的なガラス容器が数多く作られ、この時代にガラス容器が人々の生活全般に普及するようになったのです。
それは紀元前27年~紀元395年に栄えたローマ時代のことです。

このローマ帝国の時代に、前述した「吹きガラス」というガラス工芸の技法が発明され、ガラス器の大量生産が可能となり、それが現代のローマングラスへと繋がっていくのです。

それを少し追ってまいりましょう。

歴史好きの方ならご存知のように、この時代「すべての道はローマに通ずる」と言われていました。
これはローマがただ大きいだけでなく、インフラ事業を整えたため言われた言葉でもあったのです。

そのインフラ事業、道、宿泊設備、治安などの整備によってこのローマ時代は人とモノの往来が激しくなりました。
とくに古代ローマ帝国は広大な領地を持ち、シリアもその一部であったためか、吹きガラスの製法は急速に古代ローマ帝国の全領地にまで広く普及していったのです。

このようにしてこのローマ時代、ガラスの器はローマ帝国のみならず、その先にある強大な東アジアに通じる流通網であるシルクロードを渡り世界各地へと広がって行ったのです。

その証拠にすべてのローマ遺跡や、イスラエル、シリア、レバノン、イランの中東地方や、アフガニスタン、パキスタンの同時代の遺跡からは、多くのローマングラスが出土しています。

このようにして現代のローマングラスの元となるもの、つまりローマ製のガラスが世界各地に散らばっていったのです。

ローマ帝国の滅亡とローマングラス

ローマ帝国の滅亡とローマングラスの成り立ち

祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらは(わ)す・・・・

これは有名な平家物語の冒頭の言葉です。
強大な権力を誇った平家も滅びていきましたが、これは日本のことだけではなく、世界も同じことがおきていきます。

時代は移り変わり、広大な支配地域を誇ったローマ帝国も滅びてしまいました。
しかしローマ帝国という政治組織は滅びたとしても、ローマ帝国が生み出した物質や文明は残っていきます。
そのうちの一つが、ローマングラスです。

ローマ帝国の領土を基とし全世界に広がって行ったローマ時代のガラス、ローマングラスは、文明の終焉とともに捨てられたり、または破損の為、廃棄や奉納品として地中に眠っていったのです。

そして土に眠ったローマングラスは、その後何千年、何百年という時間をかけてガラス成分と土の同化現象や風化現象を起こしました。
このようにしてできたものが、現代ローマングラスと呼ばれるものなのです。

ローマングラスの特徴は乾燥した限られた環境の土に埋まることにより起こる、ガラスの成分が化学反応を起こした風化現象が大きな特徴です。
これを「銀化現象」とも呼びます。

この銀化したガラス、つまりローマングラスは、光の当たり加減によって様々な色合いに変化します。
ですからローマングラスは人工的には決して再現できない、神秘的な美しさが感じられるのです。

ローマングラスの特徴とは

ローマングラス

ローマングラスの特徴は、白っぽい銀色の膜でおおわれるようなローマグラス表面の変化(銀化現象)が特徴です。

そしてその銀化現象とは、湿度、温度など様々な要因でガラスが化学変化し風化現象を起こし、紫、緑、赤、金、黄色といった玉虫色に変化した状態を銀化現象と言います。

一般的にいうローマングラスの銀化現象というものは、1000年以上、土中に埋まっている事により古代ローマングラスの容器の表面が土と空気と水との自然の化学反応によって銀色、金色、,虹色に夢のように美しく変化することを言います。

この銀化現象を化学的に言えば、ガラスの表面が水、土、空気の影響で長い年月の間に脱アルカリ化されて、そのためガラスの表面に雲母のような薄いガラス膜が多層にでき、それに光が当たると乱反射したり、プリズムのように屈折して虹色、玉虫色に輝くものです。

もう少し細かく解説いたします。

ガラスがある特定の条件の砂や土中に、長年置かれた場合、ガラスの成分の珪酸や酸化アルミなどが周囲の鉄、銅、マグネシウム分などと化学変化を起こします。
そのガラス変化は最初表面に生じ極薄の被膜状態ですが、時代を重ねるに従って、その被膜がまるで雲母のように多層の被膜となっていきます。
そしてその被膜の各層に光があたると、その多層に渡る被膜が乱反射し、ありとあらゆる色の煌めきを発するようになります。

それがローマングラスの銀化現象であり、実に多種多様の色が生じますが、銀色に見えることが最も多いため銀化現象といわれているのです。

このようにただ土中に埋められただけで生じるローマングラスの銀化現象は、多くの遺跡が乾燥地帯にあることも、その銀化現象を起こす要因のひとつと言われています。
そしてこの銀化現象は空気中で変化(風化変色)することはなく、ある特定の条件の土の中だけ変化を起こすのです。

ちなみにエジプトでは、乾燥のし過ぎと高温によりガラスがぼろぼろになりますし、日本では湿度が高すぎるためその銀化現象が生じないのです。

これはただ土に埋まっていればおきるものではありません。
乾燥した限られた環境の土中に埋まることにより起こる、ガラス成分の化学反応なのです。

話は戻りますが、銀化した古代ローマングラスは一度見ただけで多くの人を魅了するとも言われています。

これらの美しく輝くローマングラスは、普段日常品として使われていて、忘れ去られたローマ時代のガラスが化学変化を起こし、ローマングラスとなるため、ローマングラスのほとんどは割れた瓶や壺の破片として発掘されることがほとんどです。

そしてそのガラスが銀化現象を起こしたローマングラスを発掘した人々は、割れた破片の中から美しい部分を切り出し、アクセサリーとして加工しています。

ですからローマングラスは人が意識的に作ったものではなく自然にできたものですから、銀化したローマングラスは人の心を魅了するのかもしれません。

ローマングラスの今

ローマングラス

前述しましたが、これら美しく輝くローマングラスは、割れずに発掘されることは極めて少なく、ほとんど割れて細かい破片として発掘されます。
ですからローマングラスを発掘した人々は、銀化した破片の中から美しい部分だけを切り出し、高級ブローチ、ネックレス等に加工され女性を飾ることもあります。
もちろん、割れずに瓶のままの状態で発掘されるローマングラスもありますが、それらは博物館行きです。

このように割れずに掘り出されているローマングラス化した器の中で、イランのササン朝時代(紀元200年~紀元600年頃)に作られ世界に輸出されたガラス器は、正倉院の宝物品はもちろん、天皇陵、京都の上賀茂神社、玄界灘に浮かぶ沖の島からも出土しております。

2000年も時を刻んだローマングラスの魅惑的な輝きと、2000年も前に世界に広がっていったガラス器のロマンが小さなガラスの破片から見えてくる、そういう楽しみ方ができるのもこのアンティークビーズ(ローマングラス)の面白いところですね。

本物のローマングラスを見分ける方法

本物のローマングラスの見分け方ですが、ローマングラスの特徴はその銀化現象です。
そのローマングラスの銀化現象が本物か否かを見分ける方法として、銀化現象がおきているガラスの表面に水をつけて見分けるという方法があります。

そもそもローマングラスの銀化現象は、そのガラスの表面の着色・変色による現象ではなく、 その表面の微小なクレーター状のガラスの成分が銀化現象を起こし、それに光が乱反射することによって、色が変わって見えているという仕組みなので、ローマングラスの表面に水をつけるとその光の乱反射が押さえられガラス本来の地肌の色が現れてきます。
ですから水に濡らしてもなお銀化現象が生じているものは本物のローマングラスではありません。

またその際、ローマングラスは長い間土に埋まっていたものなので、強い土臭がするのも特徴の一つです。
そしてローマングラスの表面の水気がなくなるのと次第に、消えていた銀化の輝きが 再度じわっと現れてきます。

それが本物のローマングラスの銀化現象の確認の方法です。
ぜひこのようにして本物のローマングラスを見分けてください。

ローマングラスのお手入れ方法

Care

悠久の歴史が形作るローマングラス!
同じローマングラス といえども、どれもが違う耀きを見せる理由が分かりました。
またローマングラスができる原理もこのコンテンツでご紹介してきました。

考えてみるとわたしたち日本人は「モノを大切にする」という文化を持っています。

ではそのような日本人の素晴らしい文化に基づき、ローマングラス をどのようにお手入れをして、大切にしていけば良いのでしょうか。
ローマングラスのお手入れ方法をお伝えしたいと思います。

通常のローマングラスのお手入れは、柔らかい布でローマングラスの表面を拭くなどして、ローマングラスに付いたほこりを取る程度で構わないと思います。
しかしローマングラスのお手入れをするうえでご注意していただきたいことはあります。

これまで解説してきたように、ローマングラスはガラスでできており、そのローマングラスの美しさの源、銀化現象はその土地土地の自然現象によって自然にできたものです。
そのため以下の点を注意するのは大切なことです。

・大切に扱う
・衝撃を与えない

わたしも調べたのですが、ローマングラスの特徴でもある銀化現象が剥がれることもあると書いているところもあります。
幸運なのか、わたしはそのようなことは経験したことはないのですが、やはり書いてあるということはそのような実例があるのかもしれません。
いずれにしてもローマングラス は「ガラス」なので注意するにこしたことがありません。
ローマングラスを拭くときに「剥がれるかもしれない」と意識して大切に拭いてください。

そしてどのアクセサリーにも共通することで、ローマングラスも例外ではないのですが、手で触った際に付く手の油脂には注意したいと思います。
なぜならその油脂はローマングラス独特の耀きを奪ってしまう(曇らせてしまう)ことがあるからです。

もし大切なローマグラスに手の油脂が付いてしまってもご安心ください。
そのような場合、ぬるま湯に台所用中性洗剤を溶き 優しく指でローマングラスを洗って乾燥させれば以前のローマングラスの美しい耀きが戻ります。
やはり油脂を落とすには洗剤が必要となります。

そのときには慌てず、あくまでも自己責任で、ローマングラスをこすり過ぎないように注意して、優しく丁寧に大切なローマグラスのお手入れをしてください。

もし大切なローマングラスが特に汚れているように見える時には、中性洗剤に10分程度漬けておくと大抵の汚れは落とせます。
そのあと水分を乾かし、柔らかい布でローマグラスを拭いていただければと思います。

ぜひ素晴らしいローマングラスに適切なお手入れをして、末永く手元においてお楽しみください。

ローマングラス まとめ

GreatArtisan(グレートアーティザン)でもこのような悠久の歴史をもつローマングラスを取り扱っています。

とくに今回は、そのローマングラスでできたネックレスをご紹介したいと思います。

通常ローマグラスのアクセサリーとして有名なのは、その欠片を使って作ったペンダントトップです。
しかし今回はそのローマングラスを使い、そのローマングラスをネックレスに仕上げた製品です。

約2,000年以上の歴史を持つローマングラス。
なんだかロマンを感じますね。

GreatArtisan(グレートアーティザン)ではローマングラスの新作ネックレスを売り出しています。
すでにいくつかはインスタグラムでも投稿しています。
もしご興味のあるかたは当店インスタグラムまたはGreatArtisan(グレートアーティザン)TOPのインスタグラムのリンク画像をご覧ください。
この前買い付けのときに一目ぼれして購入してきた、なかなかよいネックレスですよ!

インスタグラム:cashmere.gemstone_shop.konoha

ローマングラス商品一覧

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