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カシミヤとは? パシュミナとは何ですか?
この日本でも、カシミヤ/パシュミナという言葉は、時に別々に、時に同義語として、時に全く違う製品として使われています。
ある人は、パシュミナとはストールだと思って化学繊維でできたストールを使用します。
またある人はパシュミナとはカシミヤより上の素材だと思い、高いお金を出して高級ストールを買った方もいらっしゃると思います。
確かに当店、Great Artisan(グレートアーティザン)でも、カシミヤとパシュミナは同義語として使用しています。
本当のところ、カシミヤとパシュミナはなにが、どう違うのだろう?!
そんなことを思っている方は多いと思います。
確かにプロの観点からいうと大きな差があります。
カシミールの友人なども全く違うといいます。
わたしもそう思います。
しかし一般的にいうと、カシミヤもパシュミナも同じカシミヤ山羊(学術名:Capra hircus hircusまたはCapra aegagrus hircus)の毛を紡いで糸にして、織った繊維であることには間違いありません。
また現状として、パシュンという小さな山羊からとれる獣毛がパシュミナとか、カシミヤ山羊の喉元の毛だけを使っているのがパシュミナだ!!などという、パシュミナに関して間違った情報が数多くあるという現状もあります。
そのためGreat Artisan(グレートアーティザン)では、お客さまの目線で考え、お客さまが混乱しないようにカシミヤ/パシュミナを同義語として使用しています。
しかし、先ほども述べたように、現実問題!カシミールの観点からいうとカシミヤとパシュミナは違う製品です。
カシミールの人々は、カシミヤより高級で優れた製品がパシュミナであるといいます。
彼らはどのような意味でそう言っているのでしょうか。
本当に違うのでしょうか?
もし違うのだったらどのような点が違うのでしょうか?
今回はそれを特集したいと思います。
本来のカシミヤ/パシュミナとは?
カシミールの人々の観点からいうと、現在のパシュミナ/カシミヤは、本来の意味とは違う製品となってしまいました。
ではカシミールの人々のいう、本物のパシュミナ/カシミヤとはなんでしょうか?
それはまさに左側の写真の人の時代に、ヨーロッパで大流行したパシュミナショールのことです。
彼らはそれを本物のパシュミナ/カシミヤだといいます。
※パシュミナが、カシミヤと呼ばれるようになった経緯などは、今さら聞けない パシュミナとは何ですか? 歴史の流れから考えるをお読みください。
この時代カシミールのパシュミナはヨーロッパの社交界で一世風靡しました。
とくに女性が財産を持つことができない時代にあって、この高価なカシミールのパシュミナは女性の財産の一つとして数えられるほど、高価で人気のあるモノだったのです。
現に当時の財産目録のなかにカシミールのパシュミナが記録されているのです。
このパシュミナに変化が生じるようになったのは、インドが東インド会社によって統治されるようになり、カシミールのパシュミナがヨーロッパの女性たちの人気を掴み、それと同時に機械による工業が発達しだしてからです。
パシュミナが、ヨーロッパ社交界という一部の人々の愛用品であったものが、多くの人々(一般庶民)に広がるようになっていきました。
とくにイギリスのエリザベス女王によってもイギリス国内の毛織物産業が奨励され、カシミールのパシュミナの人気の柄(デザイン)である、今でいうペイズリーがイギリスの町の名前になり世界に広まっていったいったのもその時代です。
※ペイズリーと呼ばれるようになった経緯は、カシミールとペイズリー その歴史とカシミヤ/パシュミナをご覧ください。
このペイズリーと同じようにパシュミナも、カシミールのパシュミナから「カシミヤ(Cashmere)」という名前になって世界に広まっていったのです。
そのとき移行、カシミールのパシュミナは世界の多くの人に「カシミヤ」として認知されるようになったのです。
カシミールのパシュミナとはどういうもの?
カシミール語で「柔らかい金(Soft Gold)」を意味するパシュミナは、ヒマラヤの高地4,000mに生息しているカシミヤ山羊の冬の間だけ生える獣毛のことをパシュミナといいます。
パシュミナは、ヒマラヤの高地で飼育されているカシミヤ山羊の毛を使っているため、その獣毛の繊度(直径)は他の土地のカシミヤ山羊の毛よりも細いのが特長です。
※高山に生息している山羊の毛が細くなるメカニズムに関してはなぜカシミールのパシュミナは、世界最高品質って言われるの? 品質面から考えるをお読みください。
そのためカシミールのパシュミナは非常に肌触りがよく、原毛が美しく発色し、独特の光沢とぬめりがあり、非常に軽くて大変暖かくなります。
まさにパシュミナは、何ともいえない風合いをもつ希少な繊維として、世界中の人々から愛されているのです。
そしてカシミールのパシュミナのもう一つの特徴は、昔ながらの手織り技術を使って製品化しているということです。
当店でもパシュンというブランドで扱っておりますが、当然ながらカシミールにも機械で織って製品化した製品もあります。
しかしカシミールのパシュミナのほとんどは手織りで織られているのが特長です。
では手織りのパシュミナの何が優れているかといいますと、やはり何と言ってもパシュミナのセールスポイントを最大限に生かす織り方が「手織り」だということに尽きます。
そのカシミールのパシュミナのセールスポイントとは、軽さ・柔らかさ・暖かさです。
この3つのセールポイントを両立させるのは案外に難しいことです。
機械織りだと、糸を強くしないと機械にはかかりません。
(ちなみに最近では糸に水溶性の薬品をかけ強くするということができると聞いています。しかしその分(カシミヤ+薬品)高価になることは間違いありません。)
そのため糸を何本かの糸を一つの糸に紡ぎます。そうするとその分重くなります。
また機械織りだと力を均一にかけていくので織目が詰まってしまいます。
その分手織りに比べてパシュミナの柔らかさが失われてしまうのです。
※もし現代の機械技術で手織りのように柔らかく織れる根拠と実績があり、実際に正しい場合はご指摘ください。その場合は確認次第、直ちに訂正いたします。
しかし手織りのパシュミナは、カシミールのパシュミナのセールスポイントである、軽さ・柔らかさ・暖かさを実現できるのです。
簡単に解説していますが、これがカシミールのパシュミナ、カシミヤと呼ばれる前から存在した本来のパシュミナというものです。
もう少し詳しく知りたいかたは当社のコンテンツカシミヤ/パシュミナをご覧ください。
現在のカシミヤとは
現在カシミヤ/パシュミナの素材、カシミヤ山羊の産地は数多くあります。
オクラホマ州立大学動物科学学科によれば、現在のカシミヤ山羊の産地である国は、トルコ、アフガニスタン、イラク、イラン、カシミール、オーストラリア、ニュージーランド、中国、モンゴルがカシミヤ山羊の毛が生産されていると言われています。
やはり中東が中心ではありますが、さまざまな土地でカシミヤ山羊は飼われていることが分かります。
その中でも今世界で流通しているカシミヤ山羊の原毛は中国産がほとんどを占め、次にモンゴル産なども数多く流通しています。
細かくは当社コンテンツカシミヤ/パシュミナ製品には、なぜ高い製品と安い製品があるの?をご覧ください。
この中国産のカシミヤ山羊の世界シェアは約60%ともいわれています。
そして日本に入ってきているカシミヤ山羊の原毛のほとんどが、この中国産かモンゴル産と言われています。
それはヨーロッパ・北米でも同様の状態と思われます。
当社のブランドパシュンはモンゴルの糸を使用しています。
このパシュンでカシミヤ山羊の獣毛の繊度(直径)を日本のケケンで検査しておりますので、パシュンの特集ページをご覧ください。
ではカシミヤ山羊の原毛の品質面から考えましょう。
ヒマラヤのような高山であり、非常に寒い場所で育てられ続けたカシミヤ山羊はいるでしょうか。
口に入り健康に直接関係するさまざまな食材でさえ、儲け主義丸出しでいい加減に扱う国が、カシミヤ山羊の獣毛だけは丁寧に扱うでしょうか?
口に入り健康に直接関係するさまざまな食材でさえ、儲け主義丸出しでときに成分を偽り嘘をいう国が、カシミヤ山羊の獣毛のことだけは本当のことを言うのでしょうか?
偏見かもしれません。わたしも性善説に基づいて信じたいのですが、なかなか信じることができません・・・・・
これらのことを考えると、さまざまなメーカー・ブランド工夫を凝らしており、品質面でも数多くの注意をしていると思うのですが、世界のカシミヤの実情はこのようなものと考えられます。
品質・獣毛の細さ・重さ・作りなど、現在「カシミヤ」と呼ばれているものは、中世のころカシミールのパシュミナと呼ばれていたものとは確かに違うということははっきりしています。
まとめ -カシミヤとは? パシュミナとは何ですか?-
いかがでしょうか。
確かにカシミヤ山羊という元の山羊の種類という面では、確かにカシミヤとパシュミナは同じものだといえます。
しかしこのように分析してみると、カシミヤとパシュミナには大きな違いがあるということが分かるのではないでしょうか。
ここで当店が言いたいのはカシミールのパシュミナの方が優れているということではありません。
なぜなら、製品の評価は作り手の理屈ではなく、お客さまの好みによって分かれると思っているからです。
さまざまな事実を踏まえて、お客さまが決めればよいと思っています。
ちなみに、わたしはカシミールのカシミヤ/パシュミナが本物の製品であり、当店が仕入れている会社の作ったカシミヤ/パシュミナは品質・価格などを含めて世界トップクラスだと思っています。
しかし現在世の中で流通・販売しているカシミヤの中にはよい製品があります。
中には安くてもそれなりに良い品質のカシミヤ製品もあります。
またすべての人が本物のカシミヤ/パシュミナを欲しいと思っているわけではありません。
安ければよい、ほどほどで良いと考える人もいます。
それらすべてはお客さまが決めることであり、本物=№1セールス商品という訳ではないのです。
ほとんどの場合は、安い商品=№1セールス商品となっているのでしょう。
ですから当店では、カシミヤ/パシュミナを同義語として扱っています。
ぜひこのコンテンツや当店のカシミヤに関する様々な情報を読んで、お好きなカシミヤをお選びください。
それが結果、当店のカシミヤ/パシュミナであれば、とても嬉しく思います。
当店の自慢のブランドを紹介いたします。
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きっとカシミールの素晴らしいストールと出会えます!