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カシミヤ/パシュミナには、なぜ高い製品と安い製品があるの?

カシミヤ/パシュミナには、なぜ高い製品と安い製品があるの?

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カシミヤ/パシュミナ製品には、なぜ高い製品と安い製品があるの?

一口にカシミヤ/パシュミナと言ってもカシミヤ山羊の毛のグレードによって価格はピンからキリまであります。
これは世界共通のことです!

もちろん製品化すると値段もかなりの差があり、高級なカシミヤは羊毛ウールなどの約10倍前後という値段にもなります。
勿論この日本でも、カシミヤ/パシュミナと名の付く製品が数多くあり、その価格差も非常に大きくなっています。
例えば、カシミヤ/パシュミナストールと名の付くもので、○千円で購入できるものもあれば、○〇万円というものもあるのです。

それがカシミヤ/パシュミナ10%、化学繊維90%であるならば、その安い理由が分かるのですが、共にカシミヤ/パシュミナ100%と書いてあるならばどうでしょうか?
カシミヤ/パシュミナ製品が欲しい皆さんは混乱してしまいます!

「なぜ同じカシミヤ/パシュミナという素材・含有率なのに、こんなに価格が違うんだ~~!!」
心の声が外に漏れてしまいそうになります。

できるなら安くて、良い品質のカシミヤ/パシュミナストールを買いたい!と思うのは当たり前の人間の心情です。

なぜカシミヤ/パシュミナ製品には、こんなに価格の差があるのでしょうか?

このコンテンツでは原因の全てではありませんが、その側面を考察してみたいと思います。

カシミヤ/パシュミナに高い製品と安い製品がある理由

カシミヤ/パシュミナとは何でしょうか?

カシミヤ山羊

すでにご存じだと思いますが、まずカシミヤ/パシュミナ製品の魅力を振り返ってみたいと思います。

カシミヤ/パシュミナの魅力はなんと言ってもあの暖かさと、ふんわりとした柔らかさ、そして軽さ、そして独特の風合いです。
本物のカシミヤ/パシュミナに触れ、保有した人は、どんなに良いメリノウールであったとしても物足りなくなってしまうほど、本物のカシミヤ/パシュミナは良いものです。

どんなところが良いのですか?!
そう聞かれたらまずはこう答えます。

触ってみないと分からない、カシミヤ/パシュミナの油分から感じるあの独特の触り心地。
触っていく自分の手に上質のオイルを塗ってもらっているのではないかと思うほど、カシミヤ/パシュミナから人を癒す効果を感じます。
またカシミヤ/パシュミナの軽さと暖かさです。

なぜカシミヤは、あんなにも軽くてふんわりと柔らかく、暖かいのでしょうか?

カシミヤ/パシュミナが軽くてふんわりと柔らかい理由

暖かさという点から考えてみましょう。

わたしたち人間の体が暖かさを保つためには、簡単にいうと外気が私たちの熱を奪うのを防ぐことと、自分の体温を逃がさないことが重要です。
そのわたしたちが暖かさを保つために重要な役目を果たすのが衣服です。
なぜならば衣服は、外気からの熱を遮断したり、体温が外気によって奪われるのを防いだり、肌を守るという働きがあるだけではなく、動きやすい、軽いなど、衣服には生活するために必要な様ざまな機能が要求されるからです。
そしてその総合評価が高いものが、わたしたちが着心地が良いと感じるものになります。

そしてわたしたちの身の周りにある衣服の殆どは、糸から織ったり編んだりして作られています。
その糸の原料は、植物の綿や麻、動物の毛(ウール)、昆虫の繭(シルク)、合成繊維や化学繊維などいろいろな素材が使われており、それぞれの素材の特徴を生かし、さまざまな用途に使い分けされています。

しかしいずれの素材であっても、糸は等しく原料の綿や毛を束ねて撚り合わせて作ったものです。
つまり素材を糸にする撚糸(ねんし)という作業を行い製品化されたものが繊維であるということです。
これは糸の元の「原料(原毛)」が違っても同じです。

このように糸にする方法は等しく同じです。
ですからもし同じ太さの糸があるなら、原料の綿や毛の繊維が細ければ細いほど多くの原料・原毛を紡いで糸にするので、繊維に沢山の空気を抱えることができます。
同じ太さの糸にするのであれば、それだけ多くの原料・原毛を使えるからです。
また原料・原毛が細いということはそれだけ多くの原料・原毛を使うので、できた繊維は高価になるという弊害もあることは見逃せません。

つまり暖かさに最も重要なのは出来上がった繊維ではなく、糸の元の「原料(原毛)」が重要であり、そこにどれだけ熱伝導率の低い空気を含められるかという事になります。

ではその原毛が細いウールは何でしょうか?
ウール製品とは、一般的には動物の毛を原料とする糸から作られる製品のことです。
しかし多くの場合羊のことをウールと表し、その他を獣毛としていることもあります。
これまで人類は、歴史を通じヒツジを始めアンゴラ、キャメル、アルパカ、モヘヤなど、様々な動物の毛を使って糸を紡ぎ衣類を作ってきました。

その世の中に出回っている動物の毛(ウール)の中では、カシミヤの毛が一番細いのです。

細かく言うのであれば、ウールの中でカシミヤよりも細い毛を持つ動物として、ビキューナやチルーがいます。
しかしビキューナはアンデスの高地に野生で生息していて、特別なルート以外では一般に商業的には販売されていませんので、カシミヤが一番細いと言えるのです。

カシミヤ/パシュミナに高い製品と安い製品がある理由

つまりカシミヤ/パシュミナに高い製品と安い製品がある理由の結論はこうです。

素材の毛が細いということは当然、軽い、柔らかい、繊細ということになります。
これらの理由から、カシミヤ/パシュミナは、現在一般的に流通しているウールの中で最も軽く、柔らかく、繊細であり、暖かい製品であると言えるのです。

そして原毛が非常に細いので、糸にするとそれだけ多くの原毛を使います。
ですからカシミヤ/パシュミナの繊維が高価であることも分かります。

またカシミヤの産地は限られています。
当然ながらカシミヤは山羊の毛で動物なので産地ごとにその毛に特徴も出ます。
産地ごとに糸の細さにも特徴がでるのです。

そして年柄年中採取できるものではなく、初夏の時期(春頃)にしか採取できません。
ですから出荷量も限られています。

これがカシミヤ/パシュミナ製品が高い理由です。

カシミヤ/パシュミナの産地

疑問 カシミヤ

カシミヤ山羊は、育った土地、つまり産地によってどのように差が出るのでしょうか。

当たり前ですが、カシミヤ/パシュミナ製品の原毛となる「カシミヤ」が採れる山羊は全てカシミヤ山羊です。
ある特定の品種などいません。
すべて一般的にカシミヤ山羊と言われる山羊です。

そのカシミヤ/パシュミナの原毛となるカシミヤ山羊に関してですが、現在世界のカシミヤの供給量の約60%は中国で生産されていると言われています。
またオクラホマ州立大学動物科学学科によれば、その他のカシミヤ山羊の産地である国は、トルコ、アフガニスタン、イラク、イラン、カシミール、オーストラリア、ニュージーランド、モンゴルにてカシミヤ山羊の毛が生産されていると言われています。
このように今日、ウールの中でも最高品質のカシミアウールを生産するヤギの品種はたくさんいます。

カシミア山羊のサイズと重さはカシミヤ山羊の品種によって異なります。
しかし、様ざまな品種がいても、これらカシミア山羊の一つの共通点は、「これらの品種のほとんどが高品質の繊維またはウールを生産する」ということです。
そして、カシミア山羊のほとんどは角を持っています。

しかし考えてみてください。
カシミヤ/パシュミナ製品の原毛のほとんどが中国であるという事実は、嫌な予感を感じさせます。
わたしたち日本人は、中国の食料品などの取り扱いのいい加減さ、人の安全性などを考えない儲け主義などを良く知っています。
話しは変わりますが、先日スーパーで生姜を買いましたが、その時に日本製の生姜は売り切れていましたが、真横の中国産は大量に残っていました。
これがわたしたち日本人の中国製品に対する心情を表していると思います。

また食料品はいい加減でも、カシミヤ/パシュミナ製品は厳格、丁寧に取り扱うでしょうか。
品質や安全性を考えて管理するでしょうか。
書いてあること、言っていること、信頼できるでしょうか?!
わたしたちの肌に直接触れ、アレルギー反応などにも関係し、ずっと持っていく製品に相応しいでしょうか・・・・

育っているカシミヤ山羊は生き物です。
カシミヤ山羊がストレスのない環境で育つならばその毛は良い品質になります。
しかしストレスを抱えるような環境で育っていたら・・・・その結果は推して知るべしです。

なんだかいろいろと考えてしまいませんか?!

このような現実がありますが、世界に広まっているカシミヤ/パシュミナの原毛の多くは中国産。
そして中国産には非常に安いカシミヤ/パシュミナの原毛があり、多くのブランドで使われているのが現状です。

先ほど考えたように本来カシミヤ/パシュミナの原毛は高いものです。
しかし中国のカシミヤ/パシュミナ製品には非常に安いものがあります。

ではカシミールが産地のカシミヤ山羊はどうなのでしょうか。

ご興味のある方はカシミールのカシミヤ山羊が育っている環境に関しての詳細は以下のコンテンツをご覧ください。
カシミールのラダックとカシミヤ/パシュミナの物語 その1
カシミールのラダックとカシミヤ/パシュミナの物語 その2

ストレスとは全く無縁の、自然そのままの環境でカシミールのカシミヤ山羊は育っています。

カシミヤ/パシュミナの品質の判断

では最後に、なぜカシミヤ/パシュミナには安いものと高いものがあるかという点を考えていきたいと思います。
その要因の一つにはカシミヤ/パシュミナには品質ランクがあるからです。

カシミヤ/パシュミナ製品の原毛であるカシミヤ山羊の毛の価値は、その糸の細さと長さで決まります。
以下の表をご覧ください。

カシミヤ/パシュミナのランク表

ランク
繊度
繊維長
異物混入率
1級品14μm前後34mm以上(最高で38mm位)0.1%
2級品14~15μm30mm~34mm0.2%
3級品16μm前後28mm~32mm0.3%以下
4級品16μm以下30mm以下0.5%
5級品16~17μm以下28mm以下0.5%以上
・・・・・・・・・・・・
8~9級品17~18μm24mm以下1.0%以上

これはカシミヤ/パシュミナの原毛のランクですが、これで分かるのはカシミヤの原毛には品質ランクがあるということです。
しかし衣服などのタグの表記は何でしょうか?
「カシミヤ ○○%」です。
「このカシミヤは○○ランクです」などという表記はありません。

つまりカシミヤと名がつけばすべて最高の品質・風合とは言えないということです。
品質に大きな幅や差があるのです。

では原毛の価値さえ高かったら、そのカシミヤ/パシュミナ製品は最高品質と言えるのでしょうか?
以下の点から考えてください。

低級カシミヤ原料+低い技術当然ながらそのカシミヤ/パシュミナ製品の品質は悪い
低級カシミヤ原料+高い技術技術は高いかもしれませんが、良いカシミヤ/パシュミナ製品ではありません。
高級カシミヤ原料+低い技術カシミヤ/パシュミナの原毛は非常に細いので繊細です。
そのため製品化の数多い工程中に原料を痛め、安定したよい製品はできません。
高級カシミヤ原料+高い技術非常に風合のよいカシミヤ/パシュミナ製品ができあがります。

これは「原料が1級品であれば、すべてできた繊維の品質は最高である!」ということではないことが分かります。

その他の製品も同じではないでしょうか。

そうです。
最高の品質と高い技術があってはじめて、非常に良い最高の品質の繊維が出来上がるのです。

【まとめ】カシミヤ/パシュミナに高い製品と安い製品がある理由

なぜカシミヤ/パシュミナ製品には、高い製品と安い製品があるのかという疑問に関してご理解いただいたでしょうか?

カシミヤ100%と書かれてはいても、原毛の品質、そして低技術で作られているがゆえ、安い製品があるということになります。

勿論、最近ではニットなどでカシミヤを大量に買い付け、人件費の安い国に工場を作り、安いカシミヤ/パシュミナ製品を機械で作るということがあると思います。
ですからこのコンテンツで書いていることは、一概に言えないということもあるかと思います。
しかしそうであったとしても、それで作られたものが本当に良い製品かどうかは分からないと思います。
また機械で織るカシミヤ/パシュミナが一番よい製品だともいえないと思います。

いずれにしても、カシミヤ/パシュミナ製品の安い製品も、高い製品も売り場での表示は、カシミヤ100%(ピュアカシミヤ)です。
人間の心理として、やはり良いものをできるだけ安く買いたいと思うのは、当然の心情です。
ですからカシミヤ/パシュミナ製品の良し悪しの表示は無く、顧客自身が物を見分ける目を養う以外に、本物のカシミヤ/パシュミナを見分ける方法はないということになります。

最後に誤解しないでいただきたいのですが、決して価格が高いカシミヤ/パシュミナ製品が良いものとは思いません。
やはり製品には適正価格があると思っています。

なぜなら、日本ではカシミヤ/パシュミナ製品が高く売れるということが分かっているので、インドやネパールの人たちには現地価格・欧米価格のほかに日本人価格というのがあるようです。

彼らは心の中で思っています。
「日本のデパートなどに行くと自分の国では考えられないような価格でカシミヤ/パシュミナ製品が売られている。
また日本のECサイトの価格を見ても同じ。
日本人にはカシミヤ/パシュミナ製品は高く売れる!!」

実はそう思っている人は数多くいます。
ですからそのような日本人価格の設定で売っている店から仕入れているカシミヤ/パシュミナ製品は、この日本でも適正価格以上に高いのです。

またある程度の適正価格でネパールやインドから仕入れてきてはいても、日本の価格状況を顧みて高く価格設定をしている日本の店もあります。
当店もカシミヤ/パシュミナ製品を扱うようになる前、ネパールやインド、カシミールなど現地に行ってお店を回りましたし、現地のバイヤーと交渉をしました。
お店を始めた現在でも、仕入れ会社の人たちとは週に何度も連絡を取ります。

そのため本当に良い品質のカシミヤ/パシュミナの現地の原価を知って、日本のお店の価格設定をみると、このわたしでもビックリするような価格設定がされているお店もあります。
原価率は数パーセントなのではないか?!というような価格設定なのです。

これらも日本のカシミヤ/パシュミナ製品の実情なのかもしれません。

いずれにしても、本物の安くて良いカシミヤ/パシュミナ製品を手に入れるためには、わたしたちの側が知識と知恵を持たなければなりません。
もしそれらカシミヤ/パシュミナ製品に関する質問などがありましたら、何なりとご質問ください。
わたしたちの拙い力ですが、皆さんの手助けをしたいと思っております。
メールや電話でも結構ですよ。

以下に当店のカシミヤ/パシュミナブランドをご紹介します。

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