優しく爽やかなブルーグリーンの色合いが特徴的なアマゾナイトは、
パールや貝殻と相性がとても良いので夏にピッタリのアクセサリーとして使われることが多い天然石です。
またアマゾナイトは、他の天然石に比べ天然石特有の輝きが控え目なので、
シンプルなファッションを好む方やキラキラしたアクセサリーに抵抗のある方でも
気軽に楽しめる天然石として愛されています。
では、このような魅力に溢れたアマゾナイトとはどのような天然石なのでしょうか?
Contents
アマゾナイトとはどんな天然石?
アマゾナイトの2つの特徴【色合い】
アマゾナイトとは、地殻の60%以上を占める地球上で最も多い火山岩の造岩鉱物であるフェルスパー(長石)という鉱物グループに属しており、
更にその中のマイクロクリンと呼ばれる微斜長石という種類に属している天然石(鉱物)です。
このフェルスパー(長石)は地球上でもっとも多く存在しているといわれており、ほとんどの岩石に含まれる鉱物であり、このアマゾナイトは、マイクロクラインの中でも青緑色の天然石を指す名称です。
アマゾナイトは、ほうれん草に多く含まれている“カリウム”が主成分の正長石(カリ長石)と、
食塩に多く含まれている“ナトリウム”が主成分の曹長石(アルバイト)の2つのケイ酸塩鉱物によって構成されています。
ところで皆さんはターコイズという天然石をご存じですか?
天然石にあまり詳しくない方でも一度は耳にしたことがあると言われているターコイズは、
アマゾナイトと同じくブルーの発色が特徴的な天然石です。
ですが種族の違いだけでなく、同じブルーでも発色の仕方にも違いがあります。
何故ならターコイズは本体を構成している銅元素によって発色しているのに比べ、
アマゾナイトは微量の鉛と水分が混ざり合うことによって発色しているのです。(1985年/Hoffmeister and Rossman)
また、ターコイズはパキッとした蛍光色系のブルーが特徴的であるのに比べ、アマゾナイトは全体的にパステル系のブルーグリーンであることが特徴的です。
ターコイズについての詳しい情報はこちらをご覧ください。
⇢美しきトルコ石|そのターコイズ ブルーの耀きの秘密とは
その美しい青緑色がアマゾナイトの特徴ともなっています。
そしてアマゾナイトの特徴の一つともなっているその青緑色に発色する原因は、マイクロクラインに含まれる微量の鉛イオンであるといわれています。
天然石は不思議なものです。
同じ系統の色でもその発色に違いがあるんです。
これがアマゾナイトの1つ目の特徴、優しく爽やかなパステル系ブルーグリーンの「色合い」です。
アマゾナイトの2つ目の特徴【謎】
アマゾナイトの2つ目の特徴として「謎」というのが挙げられます。
実はアマゾナイトはある謎に包まれているのです。
そしてそれがアマゾナイトの大きな特徴であり魅力でもあるのです。
では、アマゾナイトにはどのような謎があるのでしょうか?
アマゾナイトの謎にクローズアップしたいと思います。
特徴②アマゾナイトの謎 |【名前の由来】
アマゾナイトという名前には、“アマゾン川流域で発見された石“という意味があるとされています。
そして日本では「天河石(てんがせき)」と名付けられているアマゾナイトですが、
この「天河」はアマゾン川が由来となっていると言われています。
天河というと夜空の星の大群衆が川のように見える天の川、
アマゾン川というと天地真逆でブラジルにある世界最大規模の河川が思い浮かぶかと思いますが、
ここで天河とアマゾン川が全くの別物だということにお気づきでしょうか?
“天河”と“アマゾン川”
どうしてこのように天河と全く別物のアマゾン川が、天河石、つまりアマゾナイトの名前の由来となっているのでしょうか?
アマゾン川と天河石の関係をネットで調べても、出てくるのは「言い間違いエピソード」ばかりです・・・
その答えは謎に包まれたまま現在に至り、「天河石」の「天河」はアマゾン川の当て字だと言われています。
ですが其れも其のはず、アマゾナイト(Amazonite)という名は、英語表記にも含まれているようにamazon(アマゾン)川が由来となっています。
さらに天然石は主に産地の名称や色等が名前の由来に含まれていることが多いのですが、
面白いことにアマゾナイトはアマゾン川の色が由来になっていないどころかアマゾン川で産出されておらず、アマゾン川周辺で発見されたこともないのです。
ではどうしてアマゾナイト(Amazonite)という名は、amazon(アマゾン)川が由来となっているのでしょうか?
それにはアマゾナイトの歴史が関係しているといわれています。
次に、その答えに繋がるかもしれないアマゾナイトの歴史について説明します。
アマゾナイトの【歴史】
アマゾナイトの歴史はとても古いものなのです。
アマゾナイトが発見されたのは紀元前1300年頃より前のことでした。
アマゾナイトは古代エジプトで主にジュエリーとして着用されていたのです。
何故ならば古代エジプトの時代を生きていたツタンカーメン王を含むお墓の中でアマゾナイトをビーズにした、当時のジュエリーが発掘されたからです。
アマゾナイトは、当時の人達にとってアマゾナイトの特徴でもあるブルーグリーンの色合いがとても縁起の良い色合いとされており、ケガの治療や疾患に効果がある天然石としてとても大切にされていました。
また紀元前10世紀頃にはアマゾナイトを含んだ盾が作られたりと、アマゾナイトは様々な用途で使用されていたのです。
このように古くに発見され使われていたアマゾナイトですが、その名称がアマゾナイトと付けられたのは今から175年前の1847年のことで、
ヨハン・ブライタウプトというドイツの鉱物学者が考えた名称だと言われています。
そう。アマゾナイトという名称が付けられたのは最近なんです。
それまでの間アマゾナイトは「マイクロクライン」という名で知られていました。
ここで疑問が生じます。
「ヨハン・ブライタウプトは何故アマゾナイトという名称を付けたのか・・」
ヨハン・ブライタウプトはアマゾン川に対して何か深い思い入れがあったのでしょうか?
ところがこの、ヨハン・ブライタウプトがアマゾナイトという名称を付けたという出来事は、ただの一つの説に過ぎないのです。
この他にもアマゾナイトの名前の由来に関する様々な説があるため、本当の答えは謎に包まれたまま現在に至っています。
つまりアマゾナイトと誰がどのような経緯で名づけたのか分からないということなんです。
今やもう誰も知ることのできない謎に包まれたアマゾナイトの歴史を通し、アマゾナイトの輝きを見ていると何だかワクワクしてきますね。
2つのアマゾナイトの伝説
独りの宝石商の勘違いから呼ばれるようになったという節が1つ目の説です。
ある宝石商はアマゾン川から遠く離れた鉱山で青いフェルスパーを手にし、もっとその天然石を手に入れたいと思い、アマゾン川流域を探索したそうです。
すると、偶然宝石商はアマゾン川の流域にある金の鉱山から排出された屑石の中から、青緑色の石を見つけました。
今ではこの天然石は、クォーツの一種だったのではないかと言われていますが、宝石商はそれを探していた青いフェルスパーだと勘違いをします。
それで手に入れたこの青緑色の石を「アマゾナイト」の名で市場に持ち込んだといわれているのです。
2つ目の説はこれもまた宝石商です。
ある宝石商が、この青緑色の石の鮮やかな色を見て、アマゾンに伝わるアマゾネスの神話を見出し「アマゾナイト」と呼ぶようになったという説です。
このアマゾンに伝わるアマゾネスの伝説は、16世紀にスペイン人が南米を征服したとき、戦った現地民の中にたくさんの女性がいたことから生じたものですが、それがギリシャ神話のアマゾネスと混同されたのかもしれません。
いずれにしてもアマゾナイトの名称は謎に満ちているのです。
アマゾナイトの更なる【2つの魅力】
ここまでで、アマゾナイトは優しく爽やかなパステル系ブルーグリーンの色合いと名前の由来に関する謎が特徴的で、
古代エジプトの時代から様々な用途で大切にされてきた天然石だということを知ることが出来ました。
次は、アマゾナイトがどのような天然石かを知ったうえで追及した、更なる2つの魅力をご紹介します!
魅力①:〈産地によって異なる色〉
アマゾナイトの更なる魅力の1つ目は〈産地によって異なる色〉です。
アマゾナイトは基本的に世界中の様々なエリアで産出されていますが、代表的な生産地として挙げられるのは
ペルーやブラジル、ロシア、モザンビーク等です。
最近ではインドのカミール地方や中国等でも産出されるようになりましたが、
中国では他の安価な天然石をアマゾナイトの色に染めたアマゾナイトの偽物が多く出回っているため注意が必要です。
アマゾナイトのブルーグリーンの発色は全体的に透明感は少なく柔らかい雰囲気ですが、その中でも産地ごとに色味の特徴が異なることが更なる魅力といえます。
なぜ色味の違いが生じるのでしょうか。
アマゾナイトの色味は、微量の鉛と水分が混ざり合うことによって発色していると記載しましたが、発色の原因となっている鉛などの量の微妙な包含バランスによって色合いが変わっています。
ではどのような色味の特徴があるのでしょうか?
下の表をご覧ください。お好みの色味のアマゾナイトを見つける際に参考にしてみてください!
ペルー産 | 澄んでいて艶のある色味(比較的ハッキリしているブルーグリーン) アマゾナイトの中でも特に高品質! |
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ブラジル産、インド産 | 白が多く含まれたパステル系の色味(原石由来による白色の模様入り) ほかの産地ではあまり見られない特徴! |
ロシア産 | ブルーよりもグリーンの強い色味(明度が低めで大人っぽい) |
モザンビーク産 | 明度彩度どちらも高く蛍光感のある色味(グリーンはほとんど感じない) |
魅力②:〈控え目な輝き〉
アマゾナイトの更なる魅力の2つ目は〈控え目な輝き〉です。
色のある天然石アクセサリーを検討するときにありがちな悩みとして
「個性的なイメージやキラキラ感に抵抗がある」「シンプルなコーデには合わせずらい」というのが挙げられます。
確かに小ぶりで色味の少ない方がどんなコーデにも合わせやすいですし、
特定の色味や輝きの強さによっては抵抗を感じてしまいがちです。
ですがアマゾナイトは色味も優しく、特にほかの天然石と比べて〈控え目な輝き〉が魅力的です。
何故ならば、天然石の輝きの度合いには、光の「屈折率」が関係しているからです。
光の「屈折率」が高ければ高いほど天然石は強く輝くのですが、
天然石の中で最も輝きが強いと言われているモアサナイトの屈折率が2.65~2.69なのに比べて
アマゾナイトの屈折率は 1.52~1.53となっています。
このことからも分かるようにアマゾナイトは輝きが控え目なので
天然石特有のキラキラ感に抵抗がある方でも気軽に身に着けることが出来るのです。
アマゾナイトを取扱う上での注意点
アマゾナイトはとっても魅力的な天然石ですが、知識のないまま適当に取り扱ってしまうと魅力が薄れてしまいます。
最後に、アマゾナイトをいつまでも楽しめるように取り扱ううえでの注意点をご説明致します!
アマゾナイトの〈強いもの、弱いもの〉
アマゾナイトの取り扱い方は簡単です!
アマゾナイトの強いものと弱いものを理解さえすれば、ずっと魅力を楽しむことが出来ます。
下の表をご覧ください。
強いもの | 水、紫外線 ・水洗い可 ・太陽光での乾可 |
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弱いもの | 熱、衝撃 ・熱湯での洗い不可 ・長時間の直射日光不可 |
天然石の中にはアメジストのように、水に濡れたり紫外線に当たると色や艶が落ちてしまうものもありますが、
アマゾナイトはそんなことはなく水と紫外線に強い天然石です。
ですから水洗いも可能ですし、太陽光に当てて乾燥させることも可能です。
ですがアマゾナイトは熱に弱いため、熱湯での洗浄は避けて必ず水で洗うようにしましょう。
紫外線に強いとはいえ、あまりにも紫外線の強い真夏等は直射日光を控えた方が良いでしょう。
またアマゾナイトは衝撃に弱いため、保管する際は硬度が異なる石とは別にしましょう。
何故ならば、硬度が異なる石を一緒にしてしまうと擦れ合って傷が付き、落とした時に割れやすくなってしまうからです。
それからどの天然石でも共通して言えることは汗や皮脂に弱いということです。
特に汗をかきやすい夏は、身に着けた後必ず柔らかい布等で拭いてから保管するようにしましょう。
【アマゾナイト】の全てを徹底説明!|由来・魅力・取り扱い方等…のまとめ
今はもう誰も知ることのできない謎に包まれたアマゾナイトは、
優しく爽やかなブルーグリーンで控え目に輝くとっても魅力的な天然石です。
取り扱い方も難しくないので、どなたでも気軽に楽しむことができます。
私達GreatArtisan(グレートアーティザン)の公式ホームページでは、アマゾナイトの他にも様々な天然石の情報をお届けしています。
天然石を使った100種類以上の天然石アクセサリーも取り扱っておりますので、是非ご覧ください!