ブルー、グリーン、イエロー、ピンク、オレンジ、黒、赤、藍、紫・・・
華やかでロマンチックな歴史を持つトルマリンは、宝石の中でも世界有数の多様性をもっており、「カメレオンジェム」というニックネームさえ持つといわれています。
このようにトルマリンは女性に人気の宝石です。
なぜならば色とりどりのトルマリンを並べると、まるでキャンディボックスから飛び出したようだからです。
このコンテンツではそのトルマリンについて特集いたします。
Contents
トルマリンとはなんですか?
トルマリンのこの美しさをみた古代エジプトには、トルマリンについて面白い伝説が残されています。
「この石は地球の中心から太陽まで虹の架け橋を渡って旅をしてきた。その時に虹の色が移ったのだ」・・・
まさにこの伝説からイメージさせるものがトルマリンといえます。
このようにトルマリンは、100色もの種類があり、世界有数の多様さをもち独特な特徴をもつ天然石です。
そのためトルマリンには「カメレオンジェム」というニックネームがあるほどです。
なぜトルマリンにはそのような独特の特性を持っているのでしょうか。
トルマリンとは天然石、宝石の名前ではなく、実はケイ酸塩鉱物のグループの名称を指してトルマリンと呼んでいるからです。
そうです。トルマリンとは単体の種類をもつ天然石、宝石ではありません。
ですからトルマリンとは、大きく分けて鉄・アルミニウム・リチウム・ナトリウム・カリウムなど約10種類の鉱物グループで成り立っている鉱物グループの総称であり、そのためトルマリンは多種多様な色、特性を持っているのです。
トルマリンは鉱物グループの総称・・・・
もしかしたら鉱物というと、黒や紫という色をイメージする方が多いかもしれません。
しかし複雑な成分の混ざり合いで出来ているトルマリンは、数ある宝石の中でも特にカラーに多様性があることで知られています。
このように豊富なカラーバリエーションからトルマリンは、「トルマリンには全ての色がある」と言われるほど様々な色彩を持つ天然石となっているのです。
トルマリンの歴史
キャンディーのようなカラーバリエーションと、価値高い美しさを兼ね備えたトルマリンですが、実はそれらが明らかにされたのはそう昔のことではありません。
トルマリンは他の宝石と比べると非常に歴史の浅い宝石と言われており、カラフルで美しい宝石が「トルマリン」と認識されるまで多くの時間がかかりました。
それはトルマリンのその色数の多さのゆえ、他の宝石と混同され認識されていることがほとんどだったのです。
このようにカラーだけでなく過去にも魅力のあるトルマリンの歴史を紹介します。
確かな記録によるトルマリンの歴史の始まりは、1554年のブラジルからだと言われています。
当時そのブラジルのどこかで、あるスペインの征服者は泥にまみれたグリーントルマリン(その時この名前は存在しない)を見つけ、綺麗に洗って出てきたその宝石をその色ゆえに「ブラジル・エメラルド」だと認識したそうです。
また赤系のトルマリンは、「ルビー」と認識されていたようです。
このようにトルマリンは現在のように鉱物学が確立されていない中、その色ゆえにエメラルドやルビーと混同され、紀元前から人類史には登場していたにもかかわらず、その由来や伝承が少ないようです。
1800年代になって鉱物学の進歩によって、科学者達がその宝石を、エメラルドとは異なる鉱物としてトルマリンを認識するまで、勘違いの認識は続いたそうです。
トルマリンの種類とその色
トルマリンという名称はどこからきているのでしょうか。
「トルマリン」という名は「多様な色」という意味の「トゥルマリ」という言葉から来ていますが、実はトルマリンの名の由来には様々な説があります。
このトルマリンの名前はシンハラ語(スリランカの言語)で「Turamali」つまり「混合宝石」「混ざり合った」を意味するトラマリが由来になっているという説があります。
和名では「電気石」と呼ばれているように、トルマリンに熱や圧力を加えると電気を帯び、大気中のチリなどを吸い寄せるという特徴があります。
なぜ確かな記録の中ではブラジルで発見されたはずのトルマリンが、現在のスリランカ、昔のセイロンの言語が由来となっているのでしょうか。
それは、オランダ、アムステルダムの商人がスリランカの宝石の砂利の中で発見した水ですり減ったマルチカラーの小石に当てた言葉が「Turamali」であり、その小石がトルマリンだったといわれてます。
この名前の通りトルマリンは、宝石の持つ全ての色を兼ね備えられてると言われているほど多様な種類があり、宝石としては、『無い色は無い』といわれるぐらいカラーバリエーションが豊富です。
そしてその種類によってはダイヤモンドよりも高い価値があるといわれる『パライバトルマリン』と呼ばれる大変稀少な石までトルマリンには存在します。
以下ではその成分ごとに違う輝きを持つ魅力的なトルマリンの、特に人気なカラーいくつかを紹介します。
①ルベライト・ピンクトルマリン
艶がありまるでイチゴのように輝くルベライトは、トルマリンの中でも特に価値が高く、
昔、ルビーと間違われることがあった程の美しさを持っています。
このルベライトはルビーに近い印象を受ける赤色で透明度が高いルベライトほど、その価値は上がります。
ルベライトはなぜこのような色になるのでしょうか。
ルベライトにはマンガンという成分が含まれているのですが、その成分の量によって色の濃薄が決まります。
ですから同じルベライトでも、様々な赤色を楽しめます。
ルベライトはトルマリンの中でも人気のある種類です。
それはルベライトの流通量が少ないことが理由であるといわれていますが、やはりそれはこの色ゆえの人気と思われています。
②クロムトルマリン
マスカットのようなみずみずしい色合いのクロムトルマリンは、緑色のトルマリンの中でも一際綺麗に鮮やかな緑色を発色します。
名前にはクロム(銀白色で光沢ある硬い金属のこと)が入っていますが、クロムトルマリンの色のほとんどはバナジウム(牛乳やそばにも含まれる超微量元素でミネラルの一種)によるものだそうです。
画像をご覧いただくと分かるかと思いますが、クロムトルマリンは透明度が高い結晶がたくさんあるため、それがクロムトルマリンの魅力にもなっています。
このようにクロムトルマリンは、エメラルドのように美しい色味をしているものもありますが、生産量が多いためあまり価値は上がらないようです。
その中でも透明度が高いものに価値が出てきます。
③パライバトルマリン
ソーダのような夏らしく涼しげな色合いのパライバトルマリンは、1989年に発見されたとても新しい種類で、さらに最近では2005年にモザンビークでもパライバトルマリンが発見されたそうです。
生産地である、青い海が綺麗なパライバ州にぴったりな宝石です。
世界中で人気なパライバトルマリンは、様々な基準で値段が変わるそうです。
このパライバトルマリンは、トルマリンどころか全ての宝石の中で最も高価なのではとされるほど稀少なトルマリンです。
1989年にブラジルのパライバ州で偶然発見されたという歴史の浅い石ですが、蛍光性のある独特のネオンブルー(暗い青色)が印象強いため市場に出回るやいなや、たちまち人気を博しました。
残念ながら、現在ブラジルのパライバ州ではほとんど取れず、そのほかアフリカのナイジェリアやモザンビークで産出されるパライバトルマリンはありますが、ブラジルのパライバ州で産出されるものよりも色が薄いものが多く、ますますその希少性ゆえにブラジルのパライバ州で産出されたパライバトルマリンの価値が上がっています。
④カナリートルマリン・イエロートルマリン
レモンやオレンジなどの爽やかな雰囲気を漂わせるカナリートルマリンは、薄い黄色から、少し緑を含むライム色まで様々です。
2000年頃まではしっかりと明るい黄色のトルマリンは発見されていなかったそうで、アフリカ東部のザンビアで発見されました。
そしてそのカナリアのような色合いからカナリートルマリンと名付けられたそうです。
このカナリートルマリンの美しい色合いはどのようにできるのでしょうか。
このカナリートルマリンは、マンガンが含まれ、鉄がほぼ入らない環境で育つと、強く発光し、このように鮮やかな色となります。
このカナリートルマリンという名称のカナリーは鳥のカナリアのことです。
このカナリートルマリンは近年流通が減少しています。
ですから手に入れることが非常に困難な宝石のひとつに挙げられています。
その希少価値があるイエロートルマリンの中でも特に「カナリー」の発色を持つものは宝石としての評価が高くなります。
トルマリンの取り扱い注意点
紫外線や摩擦に注意!
宝石の中では、紫外線(ブラックライト)を当てると蛍光性が見られ、暗闇で美しく輝くのを楽しめるものもありますが、トルマリンは紫外線に弱い宝石です。
紫外線によってせっかくの色が廃れてしまうことがあるので、直射日光ではない場所で保管したりなどの工夫が必要です。
アクセサリーとしてトルマリンを身に着ける時、日頃のお出かけ程度なら大丈夫なようですが、使った後は退色していないか確認する習慣を付けるといいでしょう。
また、トルマリンは、摩擦によって電気を帯びる石なので、摩擦によって埃が集まり、その埃で表面が汚れてしまったり傷ついてしまうこともあるので、できるだけ摩擦を避けた環境で保管するようにしましょう。
(参考) トルマリンの手入れ方法|最も多く色を持つ宝石の取り扱い方法
トルマリンまとめ
長い間正体が知られなかったトルマリンという名の宝石。
豊富なカラーバリエーションや、他の宝石と勘違いされる程の輝きの秘密が昔から秘められていたと考えると、なんだかワクワクしますし、益々トルマリンが魅力的な宝石だと分かりますね。
まるで色んな味のキャンディーのようなトルマリンは、本物のキャンディーとは違って消費期限(寿命)がありません。
取扱いにも注意を払って、カラフルなトルマリンそれぞれがいつでも綺麗な輝けるようにしたいですね。
当店にもこのトルマリンを利用してつくったアクセサリーを販売しています。
ぜひご覧ください。
皆さんのお気に入りになればうれしいです。
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