前述しましたが、古代の人類と、天然石の繋がりは古く、古い例では世界最古の文明といわれる古代メソポタミア文明（約5000年前）と言われています。
そして既にその遺跡からラピスラズリやカーネリアン、金などで作られた天然石が施された装飾品が発掘されているそうです。
 
またメソポタミア文明の非常に栄えた古代都市ウルでは、日干し煉瓦を積み上げた家が整然と立ち並び、市街地は８mもある高い城壁で囲まれていたといわれています。
そしてそのウルは、現代でいう水道設備なども整った近代的な都市だったのです。

このウル出身の古代の有名人にアブラハムがいます。
この人は聖書でも、イスラム教でも、ユダヤ教でも有名な人ですよね。

そのウルの中心部には一般市民は立ち入る事の出来ない聖域があり、そこには巨大な神殿が建立され、位の高い王族や神官、巫女が住んでいたそうです。
 
そして神殿では事あるごとに収穫物や財宝を捧げ、国の繁栄と豊穣を祈っていたわけですが、その場所から今でいう天然石、ラピスラズリやカーネリアン、金などで作られたネックレスやブレスレットが発掘されています。

今の日本人では考えられないことかもしれませんが、古代では宗教は人々の生活に密着していました。
ちなみに以前より宗教離れという現象は起きてはいますが、この現代でも世界では信じる宗教を持っていないというと信頼できない人間というレッテルを貼られる国も数多くあります。
ですから古代よりは離れてはいますが、現代でもある程度宗教は人々の生活に密着しているのです。

そして古代の人々は、自分たちの知恵では理解できない事柄が生じたとき、それを宗教などと結び合わせて考え、神秘的なものとし、時にそれを神の力に結び付けました。
それは天然石などに対しても同様です。

彼らは見た目美しい、彼らの持っている知識では計り知れない神秘的な天然石は「不思議なパワーを持つ石」となり、それをご神体として祭ったり、そのような天然石を身に着けることによって不思議な神秘的な天然石のパワーにあやかろうとしたのです。

そう考えると、世界でも有数のパワーストーン信奉国であるこの日本では、その部分は古代文明の人々の考え方に似ています。
神の存在を信じる人は少ないのですが、天然石のパワーを信じる人は数多くいます。
ただの天然石なのですが、不思議なパワーがあると信じ、パワーストーンとしてその神秘的な力にあやかろうとしている人が数多くいるのです。

少しずれたので本題に戻ります。

このように古代より天然石は人々のすぐ傍に存在していました。

例えば、永遠のベストセラーと言われ、人類史上最も読まれている本と言われる聖書には、さまざまな宝石、天然石が登場しています。

古代のイスラエルとユダの人たちは「永遠なるもの」に強い憧憬をもっていたため、 変質しない、朽ちない、輝く宝石、天然石に限りなく執着を感じていたようです。

有名な出エジプト記２８:９-１２にはイスラエルの神の祭司たちが身に着ける「エフォド」に数々の宝石を着けるようにエホバ神が指示したことが書かれています。

この出エジプト記が紀元前１５１２年に書かれたことから考えると、天然石と人間の歴史は本当に古くからあると考えられます。