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夜に輝くオリーブ?|天然石ペリドットを徹底解説!

夜に輝くオリーブ?|天然石ペリドットを徹底解説!

突然ですが、皆さんは天然石の””がどのように決められているのかご存じですか?
ブルー、グリーン、イエロー、オレンジ、レッド、パープル、ピンク、ブラック、ホワイト・・
代表的な色を挙げてもキリがないほど天然石には豊富なカラーバリエーションがあります。
ですが、それら全てが天然石(鉱物)自体から発色しているわけでは無いのです。

天然石のの付き方には大きく分けて二種類あります。
それは、天然石の主成分に発色元素が含まれる”自色タイプ”と、天然石の主成分でない“異金属元素”が舞い込んだ結晶への光の吸収反射作用で人間の目に色が違って見える”他色タイプ”です。

実は、天然石の中でも”自色タイプ”のものは以外にもあまり例がありません。
少ないのです。

このように貴重さと宝石本来の美しさを兼ね備えた”自色タイプ”の天然石・・・
今回はその一つである”ペリドット”という天然石を紹介します。

Contents

ペリドットとはどんな天然石ですか?

ペリドット 宝石

ペリドットの鉱物名は「オリビンOlivine」、和名で「橄欖石(かんらんせき)」といいます。
アジアや地中海周辺の濃緑色の果実「オリーブ」に由来するオリビン=ペリドットは、苦土橄欖石(マグネシウムの珪酸塩結晶=別名「フォルステライト」)と鉄橄欖石(鉄の珪酸塩結晶=別名「ファイアライト」)の双方が、4:1の比率で混ざり合った混合鉱物です。

このようにペリドットとはオリビン(かんらん石)の一種で、その色は金色がかったライムグリーンから豊かな萌黄(もえぎ)色が特徴となっており、ペリドットの中で市場で評価の高い色は萌黄(もえぎ)色です。
しかし、やや黄色っぽい色合いをしたペリドットも根強い人気があります。

前述したようにペリドットは”自色タイプ”の天然石で、その発色、つまり黄色みがかった濃いグリーンカラーは、主成分の一つ鉄によるものです。

鉄はペリドットの組成の一部なので、常に色(緑から黄緑)が見られます。
さらに光がペリドットの魅力を惹き立てています。

ペリドットは自色することに加え、光を分裂させたり屈折させたりします。
ですからそのペリドットの発色する色は深みのある輝きを放ち、絹のように魅力的な光沢のある色合いになるのです。

なぜペリドットの語源と色の関係とは

ペリドット

ではなぜペリドットと呼ばれるようになったのでしょうか

イブニングエメラルドという異名を持つペリドットの語源は明らかではありませんが、いくつかの説があります。

13世紀の中期英語の単語「ペリドート」が由来だという人もいます。
この単語は「明るい点」や「明るいボタン」を意味し、ペリドットの自色する輝きを表しています。

さらに他の説としてフランス語で不透明という意味を持つ「peritot(ペリトット)」からきているという人もいます。
おそらくシルクのように見えるやわらかな見た目の光沢のせいかもしれません。

またフランス語でオリーブという意味を持つ「olive(オリーブ)」が語源だという説もあります。
この由来の”オリーブ”がペリドットと大きな関係があるのです。

実は”ペリドット”という名前は宝石として付けられた名前で、鉱石としては”オリビン”という名前が付けられています。また、”ペリドット”の和名は”橄欖石(カンランセキ)です。
オリビン”は、ペリドットがオリーブ色をしていることが由来となり、”橄欖”はオリーブという意味が由来となっていると言われています。

ですからこの語源がペリドットに、そしてペリドットの色に大きく関係していると言えるかもしれません。

さらに古代のペリドットの生産地から考えて、アラビア語でそのまま「宝石」を意味する「ファリダット」がペリドットの名前の由来だという説があります。

いずれにしても、その真偽は明らかではありませんが、古代エジプト人には「太陽の宝石」、ローマ人には「夕べのエメラルド」と呼ばれ、古代より価値ある天然石とされてきたペリドットの価値が落ちることはありません。

ペリドットの伝説とは

ペリドット

ペリドットは”自色タイプ”の天然石のため自然な光を放ちます。
ですからペリドットは、古代より見つけやすい夜に採掘されてきました。

古代エジプト人は、ペリドットは日光を浴びると見えなくなるとさえ言っています。

このようにペリドットの”自色する天然石”というタイプゆえ、そのペリドットの金色がかったライムグリーンから豊かな萌黄色はエジプト人の信仰の対象となったようです。
エジプト人にとってペリドットの色は太陽神ラーの金色の光を受け継いだものであり、危険から身を守ってくれると固く信じたのです。
ペリドットの明るい輝きを太陽に見立てていたのです。

ハワイの先住民はペリドットを女神ペレの涙だと信じました。

またペリドットは、聖書にも出てきます。
ペリドットは和名「かんらん石」です。
聖書のエゼキエル1:16、10:9、28:13には「かんらん石」という和名でペリドットが出てきます。
またエルサレムの城壁の土台石に使われた12の宝石のひとつであり(啓示21章20節)にもペリドット(かんらん石)は出てきており、ペリドットは2000年以上前より人類の歴史とともに歩んでいた天然石だということが分かります。
その後ペリドットは、中世ヨーロッパにて聖杯や教会などでも使われるようになりました。

またエジプトのクレオパトラは見事な「エメラルド」のジュエリーのコレクションを持っていたと伝えられていますが、実際にはほとんどがペリドットだっといわれています。

さらにオスマン帝国のスルタンは1300年から約600年間にわたる統治の間に世界最大のペリドット・コレクションを成し遂げました。

さらにペリドットはわたしたちの思わぬところからも現れます。
実はペリドットは地球外で生成されたものも見つかっているのです。
その代表的なものがパラサイト隕石の中に含まれるペリドットです。

パラサイト隕石というのは、隕石の中でも特に珍しく、地球に落下する僅かな隕石の全ての中に約2%しか見つからないと言われる大変希少な隕石のことです。
このパラサイト隕石の構造として岩石質部分の大部分がかんらん石(ペリドット)で出来た種類となります。

通常パラサイト隕石に含まれるペリドットのほとんどは、地球に落ちる過程で熱や衝撃の影響を受けて飴色に変色してしまうため、本来の色を保つことができません。
しかし奇跡的に美しいオリーブグリーンカラーを保った状態のペリドットもあり、それが宇宙から地球に運ばれてきた希少なペリドットです。
さらに2005年には、スターダストロボットが宇宙から持ち帰った彗星塵の中からもペリドットが発見されました。

ペリドットは地球で見つかるだけではなく、宇宙からも見つかる天然石なのです。

このように、ペリドットは何千年も前から、現在に至るまで歴史の数々の舞台に登場します。

ペリドットの”原産地”と”歴史”

ペリドットはとても歴史が古く、紀元前1500年から採掘の記録が残されています。

ペリドットの主な産地は、エジプトの紅海にあるトパゾス島(宝石トパーズの由来の1つと言われている島)とされていましたが、現在はザバルガド島として知られています。
その”ザバルガド”はアラビア語でペリドットを意味しています。
なんだか興味深いですよね。

実はペリドットは元々トパーズと呼ばれていました。
その名前が私たちが今トパーズとして知っている宝石に適用されるようになったのはずっと後のことなのです。

ペリドットは3500年以上にわたってザバルガドで採掘されてきました。

しかし第二次世界大戦の後ザバルガドでの採掘は終わってしまいました。
そのため現在ではアメリカやミャンマー、パキスタンなどが主な原産国とされています。

ペリドットは、現在でも「ケルン大聖堂の神殿を飾る200カラットのエメラルドは、実はペリドットだ!」
と言われることがあるほど、価値ある宝石として愛されてきました。

また、古代エジプトではペリドットは暗闇を照らす「太陽の石」と呼ばれ崇められていたり、古代ヨーロッパでは兵士が敵から身を守るためのお守り代わりにされてきました。

それらの過去は、ペリドットが太陽のパワーを秘めている宝石だと信じられていたのが理由と言われています。

次に、その理由ともされた、ペリドットの”特徴”についてお話しします。

トパーズの正体はペリドットだった?

前述したように、紀元前の時代、トパーズは紅海に浮かぶ幻の島「トパゾン島」で採れたためその名がつけられました。
しかし近年の鉱物調査により、トパゾン島で採れていたのはペリドットだったことがわかっています。

そしてその根拠として、下記の2つの根拠が挙げられています。

①歴史書の中に「エジプト王家に献上されたトパーズを鉄ヤスリで研磨した」という記述があるが、トパーズは硬度が高く鉄ヤスリでは磨けない(ペリドットなら鉄ヤスリでの研磨が可能)
 ※ちなみにトパーズはモース硬度8で、宝石としてはモース硬度10のダイヤモンド、9のルビーやサファイアなどに次ぐ硬さです。
 ペリドットはモース硬度6.5〜7ですので、水晶(石英)と同じくらいです。

 
②現時点でトパゾン島と考えられる島(現在のゼベルゲット島かセント・ジョンズ島)では、良質のペリドットが採れるが、トパーズが採掘されたことはない

上記のことを考えると古代の人々は、ペリドットとトパーズを混同して認識していたと思われます。
もし調査されず、トパーズとペリドットが混同され続けたままだったら、現代に「ペリドット」と呼ばれる宝石は存在していなかったかもしれません。

歴史の興味深い一面でした。

ペリドットの”2つの特徴”とはなんですか?

光の屈折率による輝き

ペリドット

ペリドットの大きな特徴として挙げられるのは、その”輝きです。
ペリドットは光の屈折率の高さによってわずかな光でも輝きを放ちます。

先ほどお話した、ペリドットが「太陽の石」と呼ばれていた歴史はこの輝きに関係しています。

それは、 太陽下での輝きが他の宝石に比べて眩しいことから、ペリドットそのものから輝きが放たれていると信じられていたためです。

産地による色やカラットの違い

ペリドット
ノルウェー産のペリドット

もう一つの特徴として”産地による色やカラットの違い”があります。

例えばアリゾナ産の場合は、5カラット以下で小粒なのが多く採れるのが特徴で、色鮮やかな緑色というよりは黒や茶色を含んでいて全体的にくすんでいます。

それに比べミャンマー産の場合は、10カラット以上の大粒なものも産出されるのが特徴で、オリーブ味が強い緑色で透明度も高いです。

ちなみに、ペリドットの世界総産出量の80%を占めているのはアリゾナ産です。

ペリドットの”取り扱い注意点”は何ですか?

ペリドットはジュエリーとして着用するのに十分な耐久性があります。
また水にも太陽光にも強いため、普段使いしやすくとても取り扱いしやすい宝石として愛されています。

ただし、モース硬度が強くはないので強い衝撃には注意するようにしてください。

ですが長時間着用することで汗や埃が付着してしまうことからはどうしても逃れられません。

なので普段のお手入れとしては、柔らかめの布を使ってジュエリー全体を優しく拭く程度で充分です。
もし汚れが気になるときは、軽くぬるま湯につけて優しく拭き、水気を拭き取るようにするときれいになります。

汚れが落ちないときは、中性洗剤を溶かしたぬるま湯につけて柔らかいブラシで丁寧にこすり洗いをすると取れます。
仕上げに真水でよくすすいで柔らかい布を使って水分を取り除き、埃の被らないジュエリーボックスで保管することをお勧めします。

ペリドットの着用時・保管時にぶつけたり落としたりしないよう注意しましょう。

くれぐれも超音波洗浄器の使用は控えましょう。

ペリドット – まとめ

ペリドットは、3500年以上前から今までずっと愛され続けてきた宝石です。

太陽の光のように美しく輝くペリドットは、産地によって緑色の度合いに違いがあることもわかりました。

基本的には、茶色味がなくオリーブグリーンのものがペリドットとしてグレードが高いとされていますが、色の好みは人それぞれなので、これからペリドットのジュエリーを選ぶ際は産地にも目を向けてみるのもいいかも知れませんね。

Great Artisan(グレートアーティザン)も古代より愛されたペリドットを取り扱っています。
ぜひお手元にどうぞ!

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