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メリノウールの洗い方とお手入れ
メリノウール!
この柔らかく、しかもお手頃価格で手にいれることができるメリノウールという生地の寿命を延ばすためには、特別なクリーニングと保管方法が必要です。
メリノウールを適切な洗い方で適切に洗浄すると、冬の季節ごとにウールの帽子、ミトン、スカーフを気持ちよく使えます。
また豪華なメリノウールのパシュミナストールを所有していても、ニットのメリノウールセーターを所有していても、生地を傷めることなく、メリノウールの衣類を長く使うことができます。
このコンテンツでは、そのメリノウールの洗い方や保管方法を特集したいと思います。
メリノウールの良い点・悪い点-おさらい
カシミヤも天からの贈り物と言われるほど素晴らしい天然繊維ですが、このメリノウールもその糸さえ選べば素晴らしい繊維です。
どのように素晴らしいのでしょうか。
まずは、メリノウールの良い点(メリット)と悪い点(デメリット)をおさらいしたいと思います。
メリノウールのメリット
暖かい | メリノウールは非常に保温性がよいです。 なぜならウールの縮れた毛と毛が絡み合ってそこに空気を含み、その熱伝導率の低い空気を多く含むことによって暖かさを閉じ込めることができるからです。 |
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体にフィット | メリノウールは伸縮性がとてもよいです。 さらに弾力性に優れ、型くずれしにくく、シワにもなりにくいという特徴があります。 |
蒸れない | メリノウールは吸・放湿性がとてもよい繊維です。そのため湿気を吸っても直ぐに解き放ち、常にサラリとした爽やかな着心地を楽しめます。 |
メリノウールのデメリット
毛玉ができやすい | ウールに共通する点ですが、繊維の表面がキューティクル状のため、摩擦で毛玉が容易に生じます。 |
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縮みやすい | メリノウールは水に長く漬けてしまうと硬くなり、フェルト化しやすいため元に戻りにくくなります。 |
虫にくわれやすい | これは自然素材全般に関係しますが、自然素材は虫に喰われやいです。 |
メリノウールを洗う際に、これらメリノウールの良さ(メリット)を失わずに、デメリットが生じにくい洗い方をするなら、大切なメリノウールを長持ちさせることができます。
これから具体的な洗う方法を記載いたします。
メリノウールの洗い方
洗濯表示を確認
家でメリノウールを洗うときにチェックするマークには、左のようなものがあります。
表示に記されているのは、家庭で手洗いできるのか、また洗濯機で洗えるのか、アイロンの温度など、どれもメリノウールの風合いを保つために必要なサインなので、必ずチェックしてください。
洗濯機が可能となっている場合も、洗濯ネットに入れる(ニットなら裏返しにたたんで)などするだけで、仕上がりがだいぶ違ってきます。
※これはメリノウールのアイテム毎に表記がことなりますので必ず確認してください。
洗剤選び
洗剤は中性洗剤やウール用の洗剤で構いません。
しかし本来ウールやカシミヤは汚れや湿度に強い素材のため日々の洗濯は必要ないですし、汚れに神経質になる必要がない素材です。
ですから頻繁にドライクリーニングをしてしまうと、素材本来の風合いや肌触り、そして何よりも油分を損ねてしまいますのでおすすめしません。
しかしきれい好きな日本人は、どうしてもシーズンの終わりには洗いたくなるものですよね。
その場合おススメなのはラノリンです。これはカシミヤの洗い方でもおススメしている洗剤なのですが、ラノリンは本来ウールに含まれてる脂です。
人間のお肌の保湿にも良いものです。
そのラノリン入りの洗剤を洗浄液に数滴足せば、しっとりした風合いになることは間違いありません。
メリノウールの洗い方のコツ
- 洗濯には30℃以下の温い水を使う
- 洗濯からすすぎまでの水温を一定にする
- 洗濯に時間をかけない
- きちんと畳んで押し洗いする
- 脱水は短めの時間で行い、干すときは平干し
- ラノリン入りの洗剤で抜けた油分を補充
メリノウールは手洗い?それとも洗濯機?
お気に入りのメリノウール。手洗いが良いのか、それとも洗濯機を使って洗った方が良いのか迷いますよね。
やはり洗濯機の方が簡単に洗えますし時間もかかりません。
手洗いは時間がかかりますし、手が荒れやすい人は大変なので、これはご自分で決めることはできます。
しかしメリノウールの風合いを保ちたい、大切なメリノウール商品ならば手洗いをおススメします。
やはり自然繊維は擦れ、摩擦に弱いので、洗濯機と手洗いだとそのリスクは格段の差が生じるからです。
また手洗いだと自分で加減を調整できますので、生地の痛みや縮みなどの生じうるトラブルを最小限に抑えることができるのです。
しかし様々なご都合があるかと思いますので、このコンテンツでは手洗いの方法と洗濯機で洗う二つの方法を記載いたしますね。
手洗いの場合
まずは冷水又は温い水(30度以下)の中に液体石鹸を入れ、手洗いをします。
その際に30度以上の高温は厳禁です。
なぜなら温度の高さはメリノウールの生地の縮みや傷みの原因となるからです。
この際の洗い方は軽く押し洗いします。
メリノウールの汚れが落ちやすいように全体を軽く押しながら洗っていきます。
メリノウールは素早く洗った後、水を変えてすすぎを行います。
その際にここでも軽く押しながら、すすいでメリノウールをきれいにします。
その際に選択とすすぎまでの水温は一定にし、あまり洗濯に時間をかけないようにします。
目安は、全体で3-5分くらいです。
これも大切なメリノウールの生地が傷むのを守るためです。
なぜならメリノウールは水に長くつけてしまうと、繊維が固くなりフェルト化してしまいます。
その理由のために家庭での洗濯を避ける方もいますが、素早く洗濯すればメリノウールの風合いを損ねることはありませんし、綺麗に仕上がります。
また手洗いの場合もメリノウールを畳んで洗濯ネットに入れて洗うこともできます。
その方が仕上がりが良くなることもあります。
その洗濯ネットは目の細かい、少し大きめのものを選ぶのが型崩れしないコツです。
メリノウールを洗った後、大きなタオルでメリノウール製品を転がして水を取り除きます。
そしてそのタオルをそっと押して水気を取ってください。
洗濯機で洗う場合
メリノウールの洗濯表示をみて、洗濯機で洗えるメリノウールを洗濯する場合は、メーカーの推奨する指示に従ってください。
そして手洗いのときのように30度以下の洗濯水と穏やかなすすぎサイクルでウール用の洗剤を使用してください。
その際に洗濯ネットは洗濯機・手洗いどちらにも使うことができます。
とくに洗濯機の場合、洗濯中の摩擦を軽減できますのでおススメです。
その洗濯ネットは目の細かい、少し大きめのものを選ぶのが型崩れしないコツです。
もし選択するメリノウールがニットなどの場合は裏返して畳むと良いと思います。
洗濯機で洗濯後、脱水を使うことができますが、30秒~1分弱程度で終わらせてバスタオルでしっかりと水分を切ります。
その際に大きめのバスタオルを2~3枚用意しておき、押すように水分を取るのは良いことです。
メリノウールを干す場合
メリノウールは風通しの良い涼しい場所で平らに乾かします。
このようにメリノウールを乾かす際に型崩れ防止のために平干しをしますが、その際に、100円均一などで売っているワイヤーネットなどを使うとさらに便利です。
平干しハンガーなどを使って干すこともできます。
タオルなどを下に敷くと、乾いた後にタオルの水が戻り半渇きになることもあるので注意です。
メリノウールの型崩れを防ぐには、きちんと畳んだ状態で干すときによじれができないような干す工夫も大切になります。
このようにポイントをしっかり抑えれば、メリノウールの洗濯も怖くありませんし簡単に終らすことができるのです。
もしメリノウールが縮んでしまったら?!
メリノウールを洗濯する時に気になるのが、「縮んだらどうしよう」ということです。
ウールが縮むのにはいくつか理由がありますが、大抵長時間水につけ過ぎているか、干し方が悪い、乾いてからのお手入れをしていないことが原因です。
メリノウールは短時間で洗えば縮むことはほぼありません。
もし縮んだメリノウールがフェルト化して硬くなっている場合は元に戻すことは難しくなりますが、
やわらかさが残っている状態であればアイロンで蒸気を当てながら縮みを伸ばすように引っ張ることで元に戻る場合があります。
その際のアイロンの温度は、ウール設定か中温(120~150℃)のスチームに設定します。
アイロンで直接メリノウールを押すのではなく、メリノウールの生地から1cmほど離した状態で蒸気をあてながらゆっくりと生地の縮みを伸ばすようなイメージでアイロンをかけます。
こうすることで表面の毛羽立ちも抑えられ滑らかな風合いを取り戻すこともできます。
メリノウールを長く使うための保管方法
まず着用したらブラッシングしてほこりや汚れを取り除き、風通しの良いところで一日休ませます。
こうすることで、湿気や毛のちぢれなどを防ぎ毛玉ができにくくします。
またきちんとブラシをかけると滑らかな風合いを保つことができます。
購入したてのものは、静電気防止スプレーなどを使っておくと毛玉ができにくくなります。
シーズンの終わりには、虫食いやカビ防止のために洗濯と乾燥を充分に行ってから保管してください。
メリノウールも通常のウール衣料と同様に、防虫剤を入れることができます。
その際、防虫剤の成分は空気よりも重い為、しまう衣類の上に置いておくと衣装ケースの下まで効果があります。
失敗しない!メリノウールのお手入れ方法-まとめ
メリノウールは湿気を吸って発散してくれるという特徴があるので、一年中活躍する繊維といえます。
その分、いつ洗濯しようかなと迷ってしまうことがあります。
今は洗濯機で洗えるメリノウールなどもありますが、ほとんどのメリノウールはここでご紹介したように、家庭でのお手入れをこまめにするならきれいに長持ちさせることができます。
当店ではカシミヤと並ぶ糸の細さの、オーストラリア産メリノウールのストールや、カシミールの刺繍を施した珍しいメリノウールのストールを扱っています。