様々な魅力のある天然石の中からお気に入りを選ぶ際、貴方は何を基準に選びますか?
ファッションに合わせやすい、一目惚れした見た目、手を出しやすい値段 . . .
様々なことを基準に選ぶかもしれません。
しかしアパタイトは天然石の中でも硬度が低いため特に取り扱いに注意が必要です。
お気に入りな天然石がすぐに崩れてしまったらショックですよね。
このコンテンツでは、アパタイトがどのような天然石なのか、どんな魅力があるのか
また、いつまでもその魅力を保つ為の取り扱い注意点についてご紹介します。
これからアパタイト(を使ったアクセサリー等も)の購入を考えている方への参考にもなれたら幸いです。
Contents
アパタイトとはどんな天然石ですか?
青・緑・スミレ色・黄緑などさまざまな色合いを持つアパタイトは、ハンドメイドアクセサリーの材料としても人気がある天然石です。
さらにアパタイトの特徴でもある透明感のある輝きに惹かれる方も多いでしょう。
ではアパタイトとはどのような天然石なのでしょうか。
アパタイトとは、食品添加物としても使用されるリン酸の塩鉱物を含む鉱物グループに対する一般的な名称のことです。
和名では、アパタイトを燐灰石(りんかいせき)と呼んでいます。
アパタイトという名前はギリシャ語で「騙す・ごまかす・策略」という意味の「アパタオ(apate)」に由来しています。
それはアパタイトの結晶が同じ結晶構造であったとしても、晶癖(しょうへき)の異なった結晶を作る為に一つの鉱物に見えない”ことに由来しています。
※晶癖とは結晶の外観の形状のことです。
前述したようにアパタイトは『リン酸の塩鉱物を含む鉱物グループ』なのでさまざまな見た目の鉱物が含まれます。
ですからアパタイトが産出始めた頃は、見た目が他の鉱物と似ていることもあり、トルマリン・アクアマリン・フローライト・ペリドットなどと間違えられてしまうことが多かったようです。
さらにトルマリン・アクアマリン・フローライト・ペリドットと思って買った人は「騙された」と感じる人もいたでしょうし、実際に『騙した』商人もいたと思われます。
さらに、アパタイトは、トルマリン・アクアマリン・フローライト・ペリドットなどよりも硬度が低い天然石です。
ですから当時の商人などから購入した人が、すぐに傷ついたり割れてしまったことで「騙された」と思った人が多かったのかもしれません。
いずれにしても、アパタイトは「騙す・ごまかす」という意味の「アパタオ(apate)」に由来する名で呼ばれた天然石です。
アパタイトという名前には面白いエピソードがありますね。
ところで、「アパタイト」と聞いて、歯磨き粉が頭に浮かんだ方もいるのではないでしょうか?
アパタイトは一般的にフッ素燐灰石を指しています(他に、塩素燐灰石、水酸燐灰石を指す場合もある)。
そうです。
アパタイトには歯磨き粉に使われることの多い「フッ素」が成分として含まれているのです。
ちなみにフッ素には歯の表面を強化して、むし歯になりにくくする働きがあります。
ですから歯垢を吸着する働きやホワイトニング効果があるとして、フッ素が成分に含まれるアパタイトを利用した歯磨き粉があるのです。
しかし、歯磨き粉として利用されているアパタイトはハイドロキシアパタイトと言って、アパタイトにOH(ハイドロキシ/ヒドロキシ)がくっついて出来たものです。
ですから、単なるアパタイトとは少し違います。
アパタイトの硬度が低いといって、アパタイトを砕いて歯に塗っても効果はないと思いますのでご注意くださいね。
アパタイトの産出国および産地
アパタイトの産地としてはミャンマー、スリランカ、ブラジル、マダガスカルなどが有名です。
かつてはスペイン産の黄緑色をしたアパタイトが「アスパラガスストーン」と呼ばれて高級品とされてきましたが、1990年代に入ると、マダガスカルやブラジルでの採掘が本格化しました。
アパタイトは前述したように天然石や宝石以外の使い方をしますので、産出国として多くの国があります。
アパタイトの代表的な産出国および産地を下記にまとめてみましたのご覧ください。
ミャンマー | 全域 |
---|---|
スリランカ | 全域 |
ブラジル | ミナスジェライス/Minas Gerais |
マダガスカル | 全域 |
カナダ | ケベック/Quebec、オンタリオ/Ontario |
メキシコ | ドゥランゴ/Durango |
スペイン | 全域 |
モザンビーク | 全域 |
スウェーデン | 全域 |
ケニア共和国 | 全域 |
アパタイトの歴史
数奇な名称を持つアパタイトには、どのような歴史があるのでしょうか
アパタイトは含有元素によって無色・ピンク・赤・黄・緑・青・紫など様々な色がありますが、一般的にアパタイトという天然石として流通しているのは、ブルーアパタイトです。
そのブルーアパタイトも多種多様な特徴を持ちます。
ひとくちに「ブルーアパタイト」といっても原石そのままの魅力を感じさせる深い青色のものから、透き通るほど透明感がるクリアな青緑色をしたものまで、同じ石とは思えないほどさまざまな特徴をもつ天然石があり、それもまたアパタイトの魅力のひとつと言えるでしょう。
その中でも深く青く美しい色をしたアパタイトは、その美しさながら流通量がとても少ない天然石です。
主にブラジルやマダガスカルなどが生産地として有名ですが、世界中で産出されています。
しかし、その中でもジェムクオリティ(品質がとてもいいもの)が高い天然石となるとやはり流通量が少なくなってしまうようです。
かつて昔はスペイン産の「アスパラガスストーン」と呼ばれていた黄緑色のアパタイトが高級品とされていましたが、1990年代に入ってからマダガスカルやブラジルでの採掘が本格化しました。
その際様々な形状で採掘された為、トルマリンなどの鉱物として間違えられたそうです。
アパタイトの語源は、ギリシャ語で”トリック”などを意味する「apate」なのですが、
この歴史にぴったりですよね。
アパタイトの3つの特徴とその魅力を紹介
アパタイトは見た目の美しさから様々なアクセサリーとして愛用されています。
しかしアパタイトは天然石として、数多く産出されるため比較的に安価ですが、1カラット以上の宝石として取引されている石はわずかです。
ほとんどが天然石として分類、取引されています。
またアパタイトの魅力は見た目だけではありません。
次にアパタイトの主な3つの特徴と魅力について紹介します。
豊富なカラーバリエーション
アパタイトは主に明るい青緑と暗い青緑の2色が見られますが、その他にも黄色、青色、紫色、ピンク色、茶色等、様々なカラーがあります。
なぜアパタイトにはさまざまな色があるのでしょうか。
アパタイトのカラーは、石に含まれるリン酸塩以外の含有する成分の違いによって生まれます。
つまりアパタイトは含有する成分により、さまざまな色合いに変化する天然石といえるのです。
ですから、その色味や含有成分の種類によって「ブルーアパタイト」や「グリーンアパタイト」という名前で呼ばれています。
たしかに鉱物に関するたしかな知識がないと、これらアパタイトを同じグループに属する鉱物だとは思えないですよね。
世界中広く生産されるアパタイトですが、マダガスカルはその中でも特に青い色のアパタイトを産出することで人気があります。
青色の中でも様々な青色のものがあったり、透明が高くまるで雫のような艶と色合いと、豊富なカラーバリエーションが魅力的です。
宝石としてのアパタイト(稀少価値の高さ)
世界中で広く産出されるアパタイトですが、実は宝石として採用されるような透明で大きく色の美しいものはめったに採ることができません。
アパタイトの多くは天然石として流通しているのです。
ですからアパタイトの小さなものが様々なアクセサリー用に加工されています。
またアパタイトは研磨すると色の魅力が増す為ハンドメイドアクセサリーの材料としても人気があります。
価値の高さはその希少性に基づきます。
ですから宝石として流通するアパタイトの希少性は高く評価されているのです。
ちなみに宝石として取り扱われているアパタイトの3つの代表的な種類をあげておきます。
一つ目はネオンブルーアパタイトです。
特に青色で大きいアパタイトは「ネオンブルーアパタイト」と呼ばれており鮮やかな強いブルーの発色で人気の天然石です。
多くてもミャンマーから10カラットしか生産されておらず、更に生産地として有名なブラジルでは2カラットを超えることもないほど希少性が高いものです。
さらに「グリーンアパタイト」は透明感が高く、ブルーアパタイトに比べ産出量が少ないので価格が高くなります。
最後に「イエローアパタイト」ですが、一見して琥珀にも見えるほど黄色いものやグリーン色が強く透明感の高い「アスパラガスストーン」と呼ばれるものまであります。
いずれにしても宝石としてのアパタイトの希少性の価値が損なわれることはありません。
これらから分かるように、アパタイトはとっても稀少価値の高い天然石なのです。
※ カラットとは、宝石の質量を表す単位で、1カラット=0.2g とされています
カボションカットによるキャッツアイ効果
まず「カボションカット」と「キャッツアイ効果」を説明します。
カボションカットとは、紀元前からある宝石のカット方法の1つのことで、石を半球形に整えたものを研磨し、光の反射ではなく石そのものの光沢や模様を活かすカット方法を意味します。
キャッツアイ効果とは、宝石、天然石などに見られる光の効果のことで、針状に並んだインクルージョン(さまざまな内包物)を含む宝石の底面を、そのインクルージョンに平行になるようにカボションカットすると、宝石の表面に猫の目のような明るい光の筋が現れる現象を意味します。
上から光を当てた時に猫の目のように白い光の線状が現れることは、価値が高いとされる天然石の条件の1つなのです。
実はキャッツアイ効果が出る天然石はなんと50種類以上あります。しかしその中でも特に価値が高いと言われている天然石は約8種類です。
アパタイトはその8種類の中の1つです。
前述したアパタイトの稀少さにこのキャッツアイ効果が加わることで、アパタイトの稀少価値は更に高まるのです。
ここまで、アパタイトはどのような天然石で、どのような魅力があるのか知ることが出来ました。
では実際そのアパタイトを手にした時、いつまでもその魅力を保てるように、取り扱い注意点を紹介します。
アパタイトの取り扱い注意点
紫外線や衝撃に注意!
アパタイトは長時間紫外線にさらされていると、退色や変質しやすい性質があります。
ですからアパタイトを保管する際は、なるべく日の当たらない場所に置くようにしたり、直射日光に当たらないようアクセサリーボックスにしまっておきましょう。
さらに紫外線が強いレジャーにアパタイトをしていく場合、オシャレはしたいと思いますので、くれぐれもご注意ください。
また、アパタイトは天然石の中でも硬度が低い天然石です。
1~10のうち硬度は5、靱性は3.5を示しています。(数値が小さければ小さいほど割れや欠けに等に対しての耐久性が低い)
アパタイトは欠けやすく脆いので、外部からの衝撃には十分注意しましょう。
宝石を加工する職人でも、アパタイトを爪留めする際、アパタイトがうっかり欠けたり割ったりしてしまうということもあるほどです。
さらにアクセサリーボックスなどで保管の際に、硬度の高い天然石と一緒にしないようにしましょう。
ぜひこれらのことに注意して、アパタイトを楽しんでくださいね。
アパタイト-まとめ
世界中で広く産出されてはいますが、価値のある天然石として認められるのは僅かだという稀少価値の高いアパタイト。
そんなアパタイトには、豊富なカラーバリエーションやキャッツアイ効果といった様々な魅力がある事が分かりました。
アパタイトは美しさゆえにとても弱い天然石ということで取り扱う際気を付けるべきことを知ることも出来たので、これから天然石を選ぶ際、購入した後に後悔してしまうことがなくなったらいいなと思います。
当店にもこのアパタイトを利用してつくったアクセサリーを販売しています。
とくにアパタイトは、モース硬度は5と柔らかくデリケートな天然石ですが、美しい発色をしているので、不意にぶつける可能性のあるリングよりネックレスやピアスとして楽しむのがおススメです。
ぜひご覧ください。
皆さんのお気に入りになればうれしいです。