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虹のような耀き ラブラドライト|そのラブラドレッセンスの輝きの秘密

虹のような耀き ラブラドライト|そのラブラドレッセンスの輝きの秘密

Contents

ラブラドライトとは?

ラブラドライトは、宇宙のような神秘的な光りを宿しているとか、月、太陽を象徴するなどといわれています。
それはそのラブラドライトの神秘的な輝きと美しさゆえにでしょう。
古代の人たちから見ると、場所を変え、見る角度を変えると変わる、そのラブラドライトの美しさがそのような異名をとらせたのかもしれません。

ラブラドライトとはラブラドル長石ともいわれる長石鉱物です。
長石の中には大きく分けるとナトリウムが多く含まれる曹長石とカルシウムが多く含まれる灰長石があり、ラブラドライトはこれが混じりあっているので曹灰長石とも言われているのです。

このコンテンツを見ている方のほとんどは、天然石ファンだと思いますが、その天然石の中にはラピスラズリの濃い青、ターコイズの青緑などたくさんの色があります。
またはルビーやインカローズの美しいピンク色など、神秘性を感じるほど美しい天然石が数多くあります。

その中でもラブラドライトの美しさは特殊です。
ラブラドライトのほとんどが、光の加減や見る角度によって色が変化する日本でいうと「玉虫色」だからです。
ちなみにこの「玉虫色」はラブラドライトでいうと「ラブラドレッセンス」と言います。
それはラブラドライトが見る角度によって青や緑、虹色の光を反射してラブラドライトの表情が変わるため、その輝きのことを「ラブラドレッセンス」とか「ラブラドル効果」と言うのです。
この「ラブラドレッセンス」に関しては、以下で細かく触れます。

そんなきれいなラブラドライトですが、ラブラドライトの原石は、最初から美しく綺麗な玉虫色(ラブラドレッセンス)を放っているわけではないので、発見当初人気がありませんでした。
確かにラブラドライトの原石がみんな玉虫色(ラブラドレッセンス)なわけではないんですよね。
わたしもくすんだ緑っぽいラブラドライトの原石を黙って渡されたら、どこかの駐車場の砂利かと思ってしまいそうです。

見た目は美しい置物に加工されたラブラドライドでさえも、裏側(ラブラドライトの下)はただの黒っぽい石ということがほとんどです。
そのような意味では、人間によって隠されていた魅力を見出され玉虫色(ラブラドレッセンス)を放つ(美しさを引きだされる)きれいなラブラドライトは貴重ですね。

ラブラドライトの産地と種類

ラブラドライトは1770年頃にカナダのラブラドル半島で発見され、その発見場所にちなんでこの名前が付きました。
現在の産地はカナダ以外にもフィンランドやノルウェー、マダガスカル、メキシコ、米国オレゴン州など世界の様々な場所で発掘されています。

他の天然石と同様、ラブラドライトも産地によって特徴があります。

カナダのラブラドライトは石自体の色がグレーなので、どちらかというとスモーキーな印象を受けるタイプの石が多くあります。

シャンパン

メキシコ産のラブラドライトの中にはシャンパンのような金色のラブラドライトがあります。
わたしにははじめ黄金糖という飴のように見えました。
この種類の石は最初カナダのBytown(現在はオタワ)で発見されたので、別名バイトウナイト(Bytownite)とも呼ばれています。

米国オレゴン州で採れるラブラドライトは、オレゴンサンストーンと呼ばれるピーチのような可愛いピンク色で知られています。
オレゴンサンストーンは大変貴重で、アメリカでは男性にも女性にも人気の天然石です。

ちなみにサンストーンはラブラドライトの中の商品名の一つで、長石の中に含まれる鉄や銅などの内容物の違いにより、黄色や赤、中には緑の混じったものまであります。
サンストーンはインドやモンゴルなどでも採れますが赤やグリーンは希少です。

フィンランドのユレマーで発見されたラブラドライトもあります。
このラブラドライトが発見されたのは、1940年、第二次世界大戦の最中でした。
フィンランド軍がロシアとの国境付近にあるユレマー地方での戦闘中、敵軍の進入を防ぐために掘っていた穴から、美しい輝きを持つその鉱物が見つかったのです。
その鉱石はこれまで発見されていたラブラドライトと違った七色の輝きを持っていました。
そして「虹を作り出す光」のことを指す「スペクトル」に由来して「スペクトロライト」と名付けられたのです。

この石は鉱物としてはラブラドライトと同じですが、異なった美しさを持つことから、フィンランド産のラブラドライトを「スペクトロライト」と単体で呼ぶ人たちもいます。

このように天然石としては同じ「ラブラドライト」に分類されるものでも、さまざま色があるのは不思議ですね。
これは、ラブラドライトを構成している2種類の鉱物(ナトリウムが多く含まれる曹長石とカルシウムが多く含まれる灰長石)の混合の割合によって色が違って見えます。
ですから鉱物自体は同じラブラドライトということになり、それぞれの名前は「商品名」「販売名称」と言えるかもしれません。
マーケティングの基本は差別化です。
せっかく見た目が違うのに、同じ「ラブラドライト」と言ってしまったら、売れないですからね。

このようにラブラドライトの美しく神秘的な色を見、宇宙のような神秘的な光りを宿していると考えるのも不思議ではありません。

イリデセンス
モルフォ蝶

ラブラドライトの美しさ、魅力の秘密

前述したように、このラブラドライトの魅力を最大限にしているのはその見た目の輝き、美しさです。

このラブライトの特徴は、光により変化する虹色の輝きで「ラブラドレッセンス」と呼ばれています。
日本では孔雀の羽根の輝きを思い出す人もいれば、玉虫色や虹色として知られています。
いずれにしてもこのラブラドライトの輝きは、一見地味な色に見えて、角度を変えるとアワビ貝の内側のような美しい色彩を放つ大変魅力的な構造です。
このラブラドライトの輝きは、最初はシルバーのように見えていたラブラドライトが、時にはグリーンや金色のような色合いを帯びたりするので、一つの石でたくさんの表情を楽しむことができます。

ラブラドライトは石の地色によって、ブルーやグリーン、飴色などの色にも輝きます。
いつまでたっても飽きない色の変化は、わたしたちに銀河やオーロラの複雑な色合いをイメージさせます。

なぜラブラドライトは、このような神秘的な輝き、美しさを放つことができるのでしょうか。

ラブラドレッセンス(イリデセンス)の輝きの仕組み

ラブラドレッセンスを簡単にいうと以下のような特徴がある現象のことです。

(1) 光の反射によって生じる光沢。
(2) 青や緑、時には虹色の光を反射する。
(3) ときに金属光沢のような輝きがある。
(4) 見る角度、時間、場所によって、光の反射の仕方が変わるので輝きが変わる。
(5) 反射した光が一点に集中し明確な色を反射することがなく、ぼやーっとした光を反射する。
(6) 石そのものに青や緑、虹色などの色が付いてるわけではない。

同じようなことを、さまざまな表現で書いてありますが、一般的にラブラドレッセンスはこのように表現されます。
これはなぜ起こるのでしょうか。

このように物体の表面の色相が、観察する角度や光のあたる角度と共に変化する現象を「イリデセンス(ラブラドレッセンス)」といいます。

通常、わたしたちが目にするものに色がついて見えるのは、その物体に含まれる色素という化学物質と光のおかげです。

こう言ってもなかなか理解しにくいと思いますので、少し詳細に解説します。
光は白く見えますが、物体に当たると光の中のある光の波長は、その波長によって物体に吸収されたり、反射したりします。
実は、わたしたちの目はその物体から反射された波長を捉えて色として認識しているのです。

しかしラブラドライトの発色の仕組み、イリデセンス(ラブラドレッセンス)は、そのように物体の色素によってではなく物体の表面の構造によって生じている現象なのです。
ですからイリデセンス(ラブラドレッセンス)は、構造色とも呼ばれています。

そのイリデセンス(ラブラドレッセンス)と言われる色を放つ構造を持つ物体の表面は、光の波長よりも狭い緻密な構造になっています。
そのような構造を持つ物体の表面に、光の波長がぶつかると光の波長は乱反射し、ぶつかり合うため、人間の目にはある特定の波長が強く見えるようになります。
しかし同じ構造を持つ物体であったとしても、光が乱反射しているので、人間の見る角度が変わると人間が色と識別する別の波長が強く見えるようになり、あのような美しい色、つまりイリデセンス(ラブラドレッセンス)が生じるのです。

そのラブラドレッセンス(イリデセンス)を生む構造とは?

ラブラドレッセンス(イリデセンス)を生むラブラドライトの構造はどのようなものなのでしょうか。
前述しているように、ラブラドライトの構造は、曹長石(そうちょうせき)(NaAlSi3O8)と灰長石(かいちょうせき)(CaAl2Si2O8)が半々程度(正確には5:5~4:6)の割合で構成されています。
そしてその見た目の色は、その微妙な混合割合によって違って見えてきます。

これらのことはラブラドレッセンス(イリデセンス)、つまりラブラドライトの色目という部分ではどんな意味を持つのでしょうか。
つまりラブラドライトという鉱物の内部には、2つの特徴が備わっていると考えられるのです。

ラブラドレッセンス(イリデセンス)1つの目の構造上の特徴
ラブラドライトは曹長石と灰長石からなる非常に薄い層が存在し、ラブラドライトの中身は、これらの層が規則正しく交互に重なり合っています。
ですからラブラドライトは、この様な内部構造によって、薄層による光の干渉が生じていると考えられているのです。

ラブラドレッセンス(イリデセンス)2つの目の構造上の特徴
ラブラドライトという鉱物の内部には無数の小さな板状あるいは針状の磁鉄鉱や赤鉄鉱などが不純物として含まれています。
これらのラブラドライトに包含されている不純物も、光の干渉現象の原因となっており、結晶全体の色彩を暗くして干渉現象を引き立てています。

これら2つの内部構造(層構造と不純物の含有)の相乗効果によって、ラブラドライトには、他の鉱物では真似することができないラブラドレッセンス(イリデセンス)が生じていると考えられているのです。

ちなみに自然界では、孔雀の羽根や上の写真にあるモルフォ蝶、魚の鱗などにイリデセンス(ラブラドレッセンス)が見られます。

このようにラブラドライトは、鉱物の中に含まれる結晶や粒子の配列がこうした光を乱反射をする構造になっているので、ラブラドレッセンス(イリデセンス)という美しい色を生じさせているのです。

いかがでしょうか。
ラブラドライトの美しさの秘密を理解することができたでしょうか。

このラブラドレッセンスの素晴らしい輝きは、ラブラドライトの表面の構造によるものということです。
ですからこのラブラドライトの美しさ、イリデセンス(ラブラドレッセンス)をほかの天然石で模造することはできないので、ラブラドライトの偽物はあまりありません。
他の長石がラブラドライトとして売られていたとしても、よく観察すればラブラドレッセンスがあるかないかは判断できます。

中にはプラスチック製のラブラドライトが売られていることがあるようですが、プラスチックは手に持つと軽く値段も安すぎます。
そういう点では、比較的選びやすく、ラブラドライドは本物を見分けやすい天然石といえるかもしれません。

ラブラドライトのお手入れ方法

このように美しく、魅力的なラブラドライト!
長く大切に持っていたいですよね!!
そのラブラドライトのお手入れ方法を解説いたします。

前述のラブラドライトの構造のところでも、ラブラドライトは2種類の鉱物が規則正しく並んで配列されていると記載しました。
確かにそれは見た目の美しさ、ラブラドライトの希少性という観点では非常に有利に働きます。
しかしそのラブラドライトの構造は、ラブラドライトのお手入れという観点では不利に働きます。
ラブラドライトは2種の鉱物が規則正しく配列されているので、それを劈開性(へきかい)といってそれら鉱物の層に沿ってスパっと割れる性質をラブラドライトに持たせているのです。

そのためラブラドライトを落としたり、ぶつけるなどの強い衝撃がないように最新の注意を払いたいものです。
超音波クリーナーも振動がありますので、ラブラドライトのお手入れには避けてください。

もしお持ちになっているラブラドライトの汚れが気になる時は、そのラブラドライトを石鹸水を使って手で優しく洗い、ラブラドライトをよくすすいだ後、柔らかい布で水分を完全に拭きとってください。

またラブラドライトは熱に弱い性質もありますので、高温になる場所は避けてラブラドライトを保管することが必要です。

ラブラドライトはちょっとクールな印象の、男性にも女性にも合う天然石です。
是非ラブラドライトの様々な色合いを楽しんでみてください。

ラブラドライトまとめ

ラブラドライトの輝きの秘密やお手入れ方法などを特集してきましたが、このラブラドライトの素晴らしさをご理解いただけたでしょうか。

ぜひラブラドライトを手に入れ、その素晴らしさを楽しんでください!

きっと皆さんもこのラブラドライトのとりこになるに違いありません。

以下にGreat Artisan(グレートアーティザン)で取り扱っているラブラドライトをご紹介します。

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