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機械織りと手織りのカシミヤ/パシュミナ5つの違いと7つの見分け方|違いを解説!

機械織りと手織りのカシミヤ/パシュミナ5つの違いと7つの見分け方|違いを解説!

Contents

機械織りと手織りのカシミヤ/パシュミナ、その現状

皆さんも感じていると思いますが、同じカシミヤ/パシュミナ100%のストールやショールといっても価格差が非常にあります。

1万円しないものから何十万円とするカシミヤ/パシュミナ100%のストールやショールまで、世界には幅広い価格帯でカシミヤ/パシュミナ100%の製品が存在するのです。

なぜそれだけ価格差があるのかという詳細な理由は、カシミヤ/パシュミナ製品には、なぜ高い製品と安い製品があるの?をご覧いただきたいのですが、そのようにカシミヤ/パシュミナに生じている価格差の原因の一つに、カシミヤ/パシュミナ製品を手織りで作るか、それとも機械を使って作るかという点も大きく関係しています。

そうなんです。
カシミヤ/パシュミナ100%のストール/ショールといっても、機械織りばかりではないのです。

日本には少なくなっていますが、まだ手織りの織物が存在しているように、カシミヤ/パシュミナも手織りと機械織りのストールやショールが存在するのです。
そしてあまり日本では知られていない、その手織りのカシミヤ/パシュミナのマーケットは、欧米諸国や中東などではわたしたち日本人が考えているよりも非常に大きなマーケットとして存在するのです。

最近は日本人の方も旅行などでインドやドバイ、トルコなどに行き、そこで手織りのカシミヤ/パシュミナを購入する方も多くいらっしゃいます。
このGreat Artisan(グレート アーティザン)にもたまに本物のカシミヤ/パシュミナの見分け方の相談があります。

このコンテンツではカシミヤ/パシュミナの手織りと機械織りの違いを特集いたします。
参考になれば嬉しく思います。

そして現在カシミヤ/パシュミナに生じている価格差をご理解いただくとともに、どちら、つまりカシミヤ/パシュミナ ストールやショールの手織りの商品を選ぶのか、それとも機械織りのストールやショールを選ぶのか、その選択にお役立ていただければと思っています。

pashmina

カシミヤ/パシュミナストールとは

そもそもカシミヤ/パシュミナとはどういうものなのでしょうか。

カシミヤ/パシュミナ製品の元となっているその素材は、古来から繊維の宝石といわれているほど非常に優れた自然繊維素材です。
カシミヤ/パシュミナとは、カシミヤ山羊が冬の寒さを乗り越えるために冬の間だけ身に着ける内毛で作った製品のことを言います。

そのカシミヤ/パシュミナの文献による記録は、ローマ帝国のシーザーにまで遡ることができ、近代においてはカシミヤ、ヨーロッパにて広く流通する前はパシュミナと呼ばれ、かの有名なナポレオンの妻ジョセフィーヌによってフランス社交界に広まり、ヨーロッパ中に広がって行った素晴らしい繊維として有名です。

そのカシミヤ/パシュミナも中世以前はすべて手織りで作られていました。
そのため世界に流通する数にも限界があったため、カシミヤ/パシュミナの製品価格は非常に高価でした。
その証拠にヨーロッパでは、カシミヤ/パシュミナが妻(女性)の財産として、その財産目録に載せられていたほど高価だったのです。

しかしそのカシミヤ/パシュミナストールやショールにも変化のときが訪れました。

その当時イギリスは東インド会社を通して実質インドを統治していましたが、インドに赴任した兵士などがパシュミナを持ち帰ったり、またはカシミヤ/パシュミナは高価な贈答品として社交界を席捲しており、カシミヤ/パシュミナのストールやショールを保有することが多くの人の憧れでもありました。
しかし先ほど述べたように、カシミヤ/パシュミナはすべて手織りのため流通する数に制限がありました。

そのような状況下、カシミヤ/パシュミナをヨーロッパで作ろうという機運が高まり、現地(カシミール)よりカシミヤ/パシュミナの技術者を呼んだり、ラダック地方の山羊をヨーロッパで飼おうとヨーロッパに連れてきたりと、どうにかカシミヤ/パシュミナを数多く流通させようという人々が現れるようになりましたが、多くの試みは失敗に終わりました。

しかしそのような試みが別の形で成就するようになったのです。
それが産業革命でした。
そのヨーロッパで生じた産業革命によって、機械の織機が発明され、その機械の織機でカシミヤ/パシュミナを大量に織って、安く多くの人に流通させることができないかという人が出現しだしたのです。
多くの人にカシミヤ/パシュミナストールやショールを届けたいという熱意と儲けようという人々の商業主義のゆえにです。

そのような機運は工業技術の進歩とともに実現が可能となり、次第にヨーロッパに機械で織られた安いカシミヤ/パシュミナストールやショールが出回るようになり、それと同時にカシミールのカシミヤ/パシュミナの手織り産業も徐々に廃れていくようになったのです。

大まかにいうとこのようにして、カシミヤ/パシュミナストールやショールにも機械織りの製品が出回り、今ではカシミヤ/パシュミナストールやショールのほとんどが機械織りとなっています。
もしそれらの詳細な流れを知りたい方は今さら聞けない パシュミナとは何ですか? 歴史の流れから考えるをお読みいただければと思います。

では手織り・機械織りのカシミヤ/パシュミナ。
どのような違いがあるのかを特集してみたいと思います。

手織りと機械織りのカシミヤ/パシュミナ7つの見分け方

①フリンジ(毛足)手織りストールやショールのフリンジは、ストールの基盤となっている縦糸(ワープ)の延長線が毛足となって現れたものがフリンジとなっています。

ですからほとんどの場合は、手織りのストールのフリンジは切りっぱなしになります。

なぜなら、例えばまず縦糸をセッティングし、ストールを織っていきますが、長さにしては20mはあります。
それを2mごとにはさみで断裁して、同じ柄の2mのストールを10枚作るのです。

しかし機械織りストールのフリンジはストールやショール製造のプロセスの最後に留められるか縫い付けられます。
ですから好きな形のフリンジを付けられるのです。

しかし手織りカシミヤ/パシュミナにも例外はあります。
たとえばKANI織りは一枚一枚作りますのでフリンジを付けることを前提に作っています。

また手織り刺繍ショールの中にもデザインとしてフリンジを付けることを踏まえて製作されたものはあります。
わざとサイズを長くとっておいて、横糸を外し縦糸を長くして整え、カシミヤ/パシュミナのフリンジとするのです。
しかしそのようなフリンジも縦糸の延長であることに変わりはないため、形状はほとんど似たようなものになります。
しかしほとんどの場合は最初にムジのカシミヤ/パシュミナをサイズに従って作っておき、それをオーダーに従って染め、その上に刺繍を施しますので、フリンジは切りっぱなしになります。

②織り目手織りカシミヤ/パシュミナは、製作工程全てが人間の手で完成されるため、織りのムラやツレなどが見られることが特徴です。

逆に、機械織りカシミヤ/パシュミナは、非常に正確完璧に作られており、織りのムラやツレなどはほぼありません。

③デザインとパターン機械織りのカシミヤ/パシュミナは、一般的に非常に正確でデザインも左右上下と対照的に織られています。
手織りカシミヤ/パシュミナに見られるデザインの不正確さは機械織りのカシミヤ/パシュミナには見られません。

機械織りカシミヤ/パシュミナは、デザインを元に機械で織られますが、手織りストールではデザイン版などがなく、縦糸などはデザインに合わせてセッティングしますが、織職人がデザインの完成形をイメージし、その後経験や記憶などを辿らせ織っていくということもあり、デザイン版を必要としない場合が多々あります。

ですからたま~になんですが、デザインが微妙に違うヨーロピアンデザインのカシミヤ/パシュミナが入ってきます(笑)

しかし左右対称、デザイン性という観点では、KANI織は少し違ってきます。
その違いについての詳細は、カニ織り(KANI Weaving)の真実|カシミヤ/パシュミナの王様をご覧ください。

④表面手織りカシミヤ/パシュミナと機械織りカシミヤ/パシュミナの最も大きな違いとして、昔から深く伝えられているのは、カシミヤ/パシュミナの織目の表面を調べることです。

機械織りカシミヤ/パシュミナの織目は、ほとんど完璧また均一です。

多くの手織りカシミヤ/パシュミナの織目を確認しますと、均一ではありますが、機械織りの織目のような均一さはありません。
手織りであることが明確に分かります。

また手織りカシミヤ/パシュミナは、糸も手紡ぎなので非常に細い糸を使っています。
そのため手織りであったとしても縦糸が切れることがよくあります。
そのため縦糸に結び目があれば、それは手織りで作っているカシミヤ/パシュミナであることの証明になります。

⑤サイズと形状機械織りカシミヤ/パシュミナの形状は正確で、逆に手織りカシミヤ/パシュミナのサイズや形状には若干のばらつきが見られます。

この不均一さはカシミヤ/パシュミナが手作業で行われているため発生し、そのカシミヤ/パシュミナにユニークさをもたらしてくれます。

インドにおいても最近では、手織りといいながら機械織りのカシミヤ/パシュミナが多く出回っており、技術の進化と共に、目の肥えた職人でさえ機械織りと手織りカシミヤ/パシュミナの区別を見分けられることが困難となってきています。

⑥柔らかさ、風合いに差があるカシミヤ/パシュミナ製品の手織りと機械織りの差には、風合いと柔らかさに明らかな違いがあります。

なぜならば、機械織りで織るためには糸を強くします。そのためには2本の糸を1本にしたり(2ply)、3本の糸を1本にした糸を使う場合もあります。

また機械で均一の力で織っていくため、当然ながら織り目は詰まっていきます。
その変わり出来上がったカシミヤ/パシュミナ商品は均一でしっかりとした製品に出来上がります。

しかし手織りカシミヤ/パシュミナは、カシミヤの中でも非常に細く繊細なヒマラヤのラダック産のカシミヤ山羊の毛を手で紡いで糸にし、そのまま織ることができます。
また人間の手で織りますので、その時の湿度や糸の具合などで織り方に調整を加えながら織っていくことができるのです。

その代わり、出来上がったものは繊細で非常に軽く柔らかいカシミヤ/パシュミナ製品が出来上がります。

しかもカシミヤ本来の風合いを生かして手織りで織られますので、カシミヤ独特の風合いを存分に感じる製品が出来上がるのです。

⑦手織り製品は太い毛が入っている本来、手織りで織って作られるような製品の糸のほとんどはカシミールのラダックで育てられたカシミヤ山羊の内毛を使っています。

そのラダックのカシミヤ山羊の内毛は、カシミヤ山羊の体全体から刈られています。ですからカシミヤの元となる細めの内毛だけではなく、太めの外毛も若干混じっているのです。

手織りのカシミヤ製品には、そのカシミヤ製品のなかに必ず太い毛が入ります。
それが手織りと機械織りを見抜く基準にもなります。

※注意※  
最近では精巧な偽物(いわゆるセミパシュミナ)には意図的に黒毛が混入されている場合もあるようなので複合的に見て判別することが必要です。

カシミヤ/パシュミナ

カシミヤ/パシュミナ 手織りと機械織り 5つの違い

つまるところ、カシミヤ/パシュミナの手織りか機械織りかの違いは以下の内容となります。

カシミールのカシミヤ/パシュミナの手織りの糸は単糸(たんし)カシミールのカシミヤ/パシュミナの手織りで使う糸は、女性が紡ぎますので単糸になります。
ちなみに単糸とは、紡績(ぼうせき)したままの1本の糸のことです。

しかしこのような単糸は基本的には細いため機械には使えず、双糸又は何本かの糸を紡いで使います。
※双糸とは・・・2本の糸を撚り合わせた糸。
違いとして単糸にはムラがあるが、2本合わさると1本の場合よりも均一な太さになります。糸は3本以上合わせることもあります。

カシミヤ/パシュミナの糸を作る過程では、糸をねじり、”より”をかけて糸にするのですが、単糸の場合はその”より”が1方向のため、戻ろうとする力が働き、織物にするとその織物にいっそう表情がで、手さわりに差がでます。

しかし双糸になると、糸が一定化しますので、その点での個性は出なくなり、品質も均等になります。

手織りの織物は個性的完成した織物の個性は、デザインやおさの羽数、そして打ち込みの強さで決まります。
上の画像の布の上に定規みたいなもので幅を測っていますが、分かりずらいですがその上に太い木の板があります。
それが「おさ」です。
つまりセッティングされている経糸(たていと)に対して右手に持っている緯糸(よこいと)を通しその横糸が直角に交わり、通る度に”おさ”を手で打ち込みます。
このうち込みの強さによって見た目も触り心地も変わってきます。

このような手織りだからこそ生まれる、見た目のゆらぎや風合いがで、それが人を惹きつけます。

これが手織りの特徴です。

しかし機械織りは一度打ち込みの強さを決めたらそれ以降は均一に織り上げていきます。
仕上がる織物に個性は生まれません。
個性が生まれてはいけないのです。

手織りの織物は不均一手織りのカシミヤ/パシュミナは織りのムラやツレがあります。
それは人間が作ったためです。
それを魅力に感じる人もいれば、嫌がる人もいます。

機械織りのカシミヤ/パシュミナの品質は一定です。
手織りカシミヤ/パシュミナのような繊細さはありません。
安定しています。
だから安心して使うことができます。

風合いが違うカシミヤ/パシュミナの他のウールとは違う優れた点の一つに、風合いがあります。

カシミヤ/パシュミナは触った感じ、見た目のふわっとした感じ、首に巻いたときのなんとも言えない感触など、様々な要素を風合いという言葉で言い表しますが、その風合いが特徴です。

そして織りの世界でも機械織りのカシミヤ/パシュミナと手織りのカシミヤ/パシュミナでは明らかに風合いが違ってきます。
機械織りのカシミヤ/パシュミナは均一でピターッとした風合いですが、手織りのカシミヤ/パシュミナはふんわりとした柔らかい風合いとなります。

この違いは熟練の職人たちが手織りでカシミヤ/パシュミナを織る時に無意識のうちにミクロン単位で織りの力加減を調節しているからです。

そのためただでさえカシミヤ/パシュミナは他のウールに比べて優れた風合いをしていますが、手織りのカシミヤ/パシュミナはさらに優れた風合いを醸し出します。

それがカシミヤ/パシュミナを製品以上のものとし、芸術品へと高めていくのです。

手織りのカシミヤ/パシュミナは軽くなる機械織りのカシミヤ/パシュミナだと均一の力でムラなくしっかり織り込むので、糸同士の間が詰まり、手織りのカシミヤ/パシュミナに比べると重く硬めになります。

しかし手織りのカシミヤ/パシュミナは単糸なので、でき上ったカシミヤ/パシュミナも非常に軽くなります。
しかも熟練の職人がその時々の湿気や気圧、天気、糸の質などを考慮に入れて調整しながら織っていくため、そのときのカシミヤ/パシュミナ糸の良い特徴を最大限に引き出すことになります。

また軽いカシミヤは暖かくなく、品質が良くないという人はいますが、それをいう方は本物のカシミヤ/パシュミナを触ったことがない方だと思います。
手織りのカシミールのカシミヤ/パシュミナを巻くと、すぐにカシミヤ/パシュミナが私たちの体の熱を逃さず、温めてくれます。

モデルさんに当社のカシミヤ/パシュミナを巻いて撮影に望んだのですが、その日は非常に寒いときでした。
しかしモデルさん曰く、手織りのカシミヤ/パシュミナは想像以上の温かさであること、モデルさんがストールチェンジをしたときに、短時間にも関わらずカシミヤ/パシュミナが暖かくなっており、モデルさんの体温を逃さなかったという経験をしました。

手織りのカシミヤ/パシュミナは軽くて、非常に暖かいです。

– まとめ – 機械で織られたストールと人間の手で織られたストールの違い

これまで考えてみたように、カシミヤ/パシュミナ製品は手で織ったものと機械で織ったものには歴然とした差があります。
それは日本人のわたしたちなら理解できるところです。

機械織りカシミヤ/パシュミナは全て力が均等に、一律に加えられ織られていきます。
糸も機械で切れないよう強くし、2・3plyやときに薬品が糸に混ぜられることもあります。
その日のコンディションや糸のコンディションなどお構いなしです。

エンジニアはその日の歩留まりが向上するよう、機械や糸の紡ぎ方など日々工夫を加えていきます。
どれだけ同じような品質の製品を歩留まりよく生産していくかがキモです。
ですからでき上ったカシミヤ/パシュミナに差があってはいけません。

一方手織りカシミヤ/パシュミナは少し違います。
その日の気候や湿度、糸などのコンディションなどを考慮に入れ、微妙に力加減を変えながらカシミヤ/パシュミナを織っていきます。
ですからその日によって歩留まりは一定しません。悪くなったり予定通りだったりします。
また手織りは作る人によっても品質に差は出ます。

しかし出来上がった完成品のカシミヤ/パシュミナはどうでしょうか。
ときに、まさに芸術品としか言いようがない、誰もが惹きこまれるようなカシミヤ/パシュミナができ上ります。

みなさんは、どちらのカシミヤ/パシュミナがお好きでしょうか・・・
どちらのカシミヤ/パシュミナを長く使い、自分の肌に触れ、持っていたいと思いますか・・・

インドにおいても最近では、手織りといいながら機械織りのストールが多く出回っており、技術の進化と共に、目の肥えた職人でさえ機械織りのストールと手織りストールの区別を見分けられることが困難となってきています。

それほど一見した手織りと機械のカシミヤ/パシュミナの差が縮まってきているのかもしれません。
もし手織りのカシミヤ/パシュミナが欲しい場合や分からない場合など少しでも疑問を感じた際には、ショップの店員や販売店にご相談することをお勧めします。
でもショップの人間も売るために嘘を言うことも数多くありますのでお気を付けください。

これまで再三に渡って考えてきたように手織りのカシミヤ/パシュミナは人間味溢れています。
手織りカシミヤ/パシュミナならではの暖か味も感じます。

カシミールの手織りカシミヤ/パシュミナの作り方に関しては、手織り(Hand-Woven) カシミヤ/パシュミナをご覧ください。

GreatArtisan(グレートアーティザン)で取り扱っている手織りのカシミヤ/パシュミナストールをご紹介します。

これは見分けなくても大丈夫です、正真正銘の手織りストールです。

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